| 【説明】 手前ここに取りいだしたるは筑波名物蝦蟇(がま)の油、蝦蟇と申してもただの蝦蟇と蝦蟇が違う。これより北、北は筑波山の麓は、おんばこという露草をくろうて育った四六の蝦蟇。四六五六はどこで見分ける。前足の指が4本、後ろ足の指が6本、合わせて四六の蝦蟇。山中深く分け入って捕えましたるこの蝦蟇を四面鏡張りの箱に入れるときは、蝦蟇はおのが姿に鏡に映りたるを見て驚き、たら〜りたらりと脂汗を流す、これをすきとり柳の小枝にて三七二十一日間、とろ〜りとろ〜りと煮詰めましたるがこの蝦蟇の油……。 筑波名物「蝦蟇の油売り」口上の一節です。 ガマガエルはヒキガエルの俗称。茨城生まれの私は子供のころ、この口上を信じて筑波のヒキガエルは指の数がほかと違う、特別な種類なのだと思っていました。どこのヒキガエルも指の数は同じだということを知ったのは、じつは成人になってから。つまり蝦蟇はどこの蝦蟇でも四六なのですが、正しくは四六でなく四五だというのを知ったのは、ついこの間のことです。雑魚党の奥山英治漁労長が「後ろ足の内側の6本目に見えるのは、指じゃなくてコブなんだよね。骨が入ってないの」という一言からでした。 |