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年の瀬のふらり旅で、ついに見つけた伝説の喫茶店
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その店は簡単に見つかった。
「新潟に行く新幹線でトンネルとトンネルの間に駅あったよな、あの近くに面白い喫茶店があるらしいぜ」「ということは月夜野とか水上あたりかね?」「ドイツコーヒーの店で料理も旨いらしいよ」という友人との会話で「ちょっと行ってみるわ」と出かけたのが年末の29日。年末大掃除の邪魔にならないようによそに行くことを俳句の季語で「煤逃げ」と言うらしい。捉えようによっては掃除をサボると思われるかもしれないが、決してそんなことは無く、後日のためのリサーチなのだ。(日帰り温泉と喫茶店めぐりは家内とここ数年の楽しみ)
早速ネットで地図を調べると、月夜野町と水上町と新治村が合併してみなかみ町となり役場は後閑(ごかん)という駅近くにある。午前9時に後閑駅前に到着し、タクシーの運転手さんに尋ねてみようと駅の駐車場に車を止めて驚いた。目の前にその喫茶店はあった。
ドイツコーヒー「夢」。隣家とはミスマッチだがドアーの上にはグーテンタックの文字。大学でドイツ語を学んで覚えている数少ない言葉だ。出窓で猫が「まだ開いてないよ」と言う目をする。ならば温泉に行こう。
みなかみ町営温泉「三峰の湯」までは車で数分。外観はプレハブの工事現場事務所だが、実は奥行きが広く内湯も露天も源泉かけ流しのアルカリ単純泉でビジターでも350円というお得なスベスベの湯だった。
11時に再びお店を訪れるとドアーのカーテンが開いており、恐る恐る入ってみると内側に「OPEN」の文字。店内はテーブルが3つしかなく一番奥はマスターの定席らしく電気スタンドの下に読みかけの新聞。「いらっしゃい」と奥のほうから出てきたマスターは御年80超えで優しさの塊という顔をしていた。
「何か食べるものはありますか?」「そうねえソーセージなんかいかが?」そう言うと調理場に引きこもってしまった。
料理が出来上がるまで愉快なメニューを見ていると30数年前の学生時代の記憶が蘇ってきた。戦車プラモオタクだったKという友人が「月夜野の街の中にドイツ語で挨拶して軍服を着た変なオヤジがやっている喫茶店があるんだよ」「ナチか?」「そうじゃないんだけどサンドイッチ頼むとヘルメットに入って来るんだぜ」「へぇー」がこの店だったのかも……。
それは運ばれてきた料理を見て確信となった。そんな記憶もあって食後のコーヒーはほろ苦く甘酸っぱかった。そして静かに時は流れた。
カランコロン(ドアに付いたカウベルの音)、「こんにちは」女子高生が一人奥の席に背を向けて座った。マスターがそっと近づいて「チョコレートコーヒーでいいかな?」「はい」。マスターは人生の達人だ。顔を見て飲み物を決めてしまうのだった。毛糸の手袋をテーブルに置いた女子高生の背中が小刻みに震えていた。そうさ悲しいときは絶対甘い物だよ。と思ったら携帯メールしてクククッと笑っている女子高生であった。
ううっ、夢 Traum トラウム→トラウマになりそう。
「マスター ワシにも甘いコーヒー頂戴!!」
(余暇活動家/秋山 明彦)
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◇◆ドイツコーヒー「夢」 DATA◇◆
住所:〒379-1305 群馬県利根郡みなかみ町後閑314−1
TEL:0278-62-2157
OPEN:昼ごろ
定休日:不定
予算:700〜2500円 *飲み物のメニューはありません。
※電話で営業を確認してから出かけることをお勧めします。
※時間に余裕の無い方はお勧めしません。
※禁煙席などありません。
※おばさまたちの賑やかなランチには向いていません。
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