 |
 |
江戸の町並みを残す天領・日田、ひなまつりで大賑わい
|
大分県日田市の我が家から自転車で3分。天領時代の風情を残す豆田地区が、ウィークデーにもかかわらず観光客で溢れかえっていた。2月中旬から3月いっぱいは「天領日田おひなまつり」で、古い家並みが格別光って見える時期でもある。
20年前、寂れゆく商店街の再生を図った石丸邦夫氏は、市の打ち出した都市計画に真っ向から反対。「古い町並みを保存しながら生き残る道を模索した」という。今や、豆田の商店・出店は約100軒。市当局も地区民の意思を尊重し、道路整備、電柱の埋設など、徐々にではあるが協力体制を深めてきた。
江戸後期の大儒学者・廣瀬淡窓の実家である「廣瀬資料館」を覗くと、江戸時代「掛屋」を営んできた同家所有の「享保びな」が展示されていた。九州内の天領から納入される公金がすべてこの掛屋に集められ、全国の大名相手に融資取引していた「日田の掛屋」が、明治期に新政府の方針で没落する。
「その後は財の切り売りで繋いできたため、現在残る品は3割くらい。享保の飢饉時代の雛人形が、いちばん出来がいいんですよ。この不況の時代にブランド品が売れる状況によく似ていますね」と、廣瀬資料館長の安藤正則さん。
そんな商人の町、日田市内には、他にも豪商が多く、旧家が贅を尽くして集めた「ひな人形」が、この時期、市内20か所あまりで展示されている。今年は雛人形公開20周年を記念して、草野本家では、雛人形に加え「神田明神祭礼絵巻」(1823年の物、幅26cm、長さ約10m)が特別展示されている。
ほかにも、相澤漆芸工房の「豆雛」が、手ごろな値段と可愛らしさで観光客の人気の的。若いカップルが次々と買い求めていた。また、観光人力車も2台で運行を始めた……と、見どころはいっぱい。
豆田のほぼ中心部にある喫茶「嶋屋」も、昼時は常に満員。実は嶋屋の敷地は細長い「ウナギの寝床」。調理場の脇を通って裏手に回ると、世間の喧騒を避ける庵がポツリとある。「裏の庵を使ってもいい?」と、前述の石丸氏に頼んでみるのも一手だ。幕末の志士たちが隠れ集うような雰囲気に浸れるかも……。
(大分県日田市在住・エッセイスト/佐々木茂美)
------------------------------------------------------
◇◆天領日田おひなまつり◇◆
期間/開催中〜3月31日(水)
問い合わせ先/日田観光協会 TEL 0973-22-2036
|
|