バナー

男はロマン、女は我慢? 野鳥と遊べる喫茶店です


●「九州なんてなかなか行けないよ」とお嘆きの東京在住の貴兄。九州直送の食材を使った居心地の良い居酒屋が麻布十番にあります。その名は、「とらくまもぐら」。深夜まで営業しているのでエアビーパル関係者もよく出没しています。今の時期は、やはりアラでしょうか。
 「野鳥と遊べる喫茶がある」と聞いて行ってきました。場所は大分県九重町野上、湯布院町に向う国道210号線を野矢駅方面に右折、県道を10分ほど走ると滝上地区を通り抜け寺床地区に入ります。さらに道なりに2〜3分走ると八方雑木林の中にコーヒー会社の看板が目立つのですぐに分かります。駐車場に車を置いて10mほど下ると別荘のような家屋がポツリと佇んでいました。ここが「喫茶&木彫り工房、森のピノキオ」でした。訪れた日は快晴、コナラやヤマザクラの大木に囲まれた喫茶店には明るい陽光が降りそそぎ、どこからともなく聞こえてくるせせらぎの音と小鳥のさえずりだけがBGMという異次元の世界です。「ここで野鳥と遊べるの?」と半信半疑で木彫りの鳥や人形が所狭しと並ぶ喫茶室に入りました。

 窓辺の席に座り、コーヒーを注文しながらオーナーの老夫婦に話しかけると「ええ、小鳥はもうじきに現れますよ、ホラ」と笑いながら視線を窓に向けます。いつの間にか背と腹が赤いヤマガラが3羽窓辺の枠につかまって私たちを見ているじゃありませんか。

 オーナーの河野信義さん(66歳)は8年前、長年暮らした湯布院町から奥様の恵子さんとこの寺床に店を構えました。8000坪の敷地内を流れる沢は玖珠川の源流湧水の沢にはヤマメやニジマスが住み、落葉樹の自然林は手つかずのまま。春は草花でいっぱいと言います。まるでおとぎの国のようです。「野鳥にひまわりの種を与えているうちに手にも肩にも留まるようになりました」と楽しそうに語る河野さんの脇で「私は仕方なしについてきたのよ」とあきらめ顔の奥様。

 私たちが散策していると、高い梢から梢へとついて来ます。ひょっと河野さんが手を伸ばすと、さっと降りてきて留まります。妻がひまわりの種を持って真似してみると同じように留まって餌をくわえては飛んで行きます。「1度に10羽も留まったこともある」と聞いて、夢中に小鳥を呼ぶ妻の姿に「野鳥と遊べる喫茶店が本当にあったんだ」と感動的な時間を過ごして帰宅しました。雪の中でもいろんな鳥が来るそうですから、この冬1度はこの喫茶店をたずねてみませんか? 絶対ハズレはないと思います。

(大分県日田市在住・エッセイスト/佐々木茂美)



TOPへ新製品ショップ話題フィールドメディア
ご意見・お問い合わせair BE-PALとは?Privacy Policy


 © Shogakukan Inc. 2003 © 村上康成
 All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
 掲載の記事・写真・イラスト等、すべてのコンテンツの無断複写、転載を禁じます。