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魔法の劇場、ミナックシアター
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ミナックとは、イギリス南西部、コーンウォール地方の言葉で「岩だらけの場所」という意味。穏やかな自然で知られるこの地方に、野外劇場ミナックシアターがあります。段々畑状の、急斜面に並ぶ座席は岩と芝生。素朴な舞台装置も岩で作られており、その彼方に無限に広がる、表情豊かな空と海が舞台背景です。春から秋には、音楽や演劇が毎日催され、上演時間外と冬は劇場自体が公開されています。
この劇場が、一人の女性の情熱で作り上げられたものと言ったら、驚くでしょうか。彼女の名は、ロウィーナ・ケイド。30代半ばから、90才で亡くなるまでを劇場の完成、運営に尽くしました。
ことの起こりは、1920年代に始めたアマチュア劇団。娯楽のない片田舎で高まる劇団の人気に伴い、本格的な劇場として、彼女の家の対岸にあった崖の窪みを、利用することを思いついたのです。
半年の基礎工事の後にこぎつけた初上演は、シェイクスピアの「テンペスト」。舞台照明は車のヘッドライトという素朴さでしたが、後に全国紙タイムスに取り上げられ、彼女の劇場完成への士気は高まります。その後7年間、2人のクラフトマンと一緒にこつこつと働き続け、劇場は発展します。第二次世界大戦により破壊されたり、花崗岩を買う余裕がなくなりセメントを使ったり、の紆余曲折ののち、1940年代には映画プロダクションが撮影にやって来るまでになりました。
ロウィーナの死後も、チャリティ団体の運営により、劇場はゆっくりと拡張。整備を整え、成長しています。彼女は90才直前で亡くなるまで、劇場のことを考え続け、全天候型の劇場のスケッチも残しています。いつか、このアイデアが実現する日が来るかもしれませんね。
さて、ある晴れた初秋の日。機会があって、この劇場で舞台を見ることがありました。演目は、「ヴェローナの2人の紳士」。ロウィーナが好んだシェイクスピアです。亜熱帯の植物の美しい植え込みを横目に、駆け込みで買ったチケットで入場すると、まもなくしてさあ、舞台の始まり。古典劇は語られる文体が難しいですが、シェイクスピアの典型的などたばたコメディ、内容は簡単明瞭。空と海の輝きと鮮烈な太陽光は、まるでローマの古代劇場に連れてこられたかのようで、舞台効果は500%。この場に居合わせた幸運を噛みしめた数時間でした。
(ロンドン在住フォトグラファー/山内ミキ)
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◇◆DATA◇◆
舞台・コンサートのチケット:大人£7.50、£6の2種類。16才以下£4、£3の2種類。
購入方法:オンラインで購入可能。
上演日、演目はウェブサイトで確認のこと。
URL:http://www.minack.com
<劇場公開>
冬期(10月1日〜3月31日)、上演なし。10:00-16:00。
夏期(3月21日〜9月30日)は9:30-17:30
入場料:大人£3、60才以上£2.20、16才以下£1.20、12才以下無料
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