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家を守ってくれるちいさな生き物。ニホンヤモリ
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夜、ふと壁や窓ガラスを見ると、そこに得体の知れない生きものがペッタリ。思わず叫び声を上げてしまった人も多いでしょう。その灰色の体に不規則な黒斑模様の生き物こそ、「ニホンヤモリ」。体長10センチほどで、北海道をのぞく広範囲に分布し、朝鮮半島、中国にも生息しています。
「家を守る」ゆえに「ヤモリ」。漢字では「守宮」「守居」と書きます。「家を守る」と言われているせいか、見つけてギョッとはしても、殺生はせずそっとしておく地域が多いようです。でも、ヤモリが家を守ると言われる所以は、家の周囲にいる蛾や蚊、蜘蛛などを餌としているからなんですね。ですから、白い蛇が神の化身と呼ばれて珍重されるのとは意味合いが違います。
日本にいるこのヤモリは都市部の人家周辺に見られることが多く、夜行性。街灯に寄ってきた昆虫を餌にしており、壁や天井裏、戸袋などに初夏から初秋にかけて一つか二つの卵を生んで繁殖します。光や温度の加減で、黒斑が濃くなったり薄くなったりするので、見るたびに印象が違うことも。毒はありません。
足の指の裏にはたくさんの突起が並んでいて、そこに吸盤の役割となる毛状の爪がついています。垂直な壁や窓、天井などを自由自在にチョロチョロできるのもこれがあるおかげ。しかも、この吸盤はわりと強いので無理に剥がそうと尻尾を掴むと切れることがあります。特に、幼体の場合は驚いただけで尾切れを起こす場合があるので、要注意です。
もしどうしても観察したいのであれば、壁に張り付いているヤモリを透明のコップでカポッと囲い、コップに入ったところを捕獲すれば尾切れの心配もありません。ケージに入れて数日観察するのであれば、昼間に隠れられる場所(流木や石を組み合わせて陰を作る)と水入れを用意します。餌は蜘蛛やちいさい昆虫でOK。また、カブト虫用のゼリーなどを入れておくとペロペロ舐めることも。
さて、この壁をチョロチョロするヤモリは、爬虫類愛好家の間では「カベチョロ」と呼ばれています。ニホンヤモリは灰色で地味なヤモリですが、同じカベチョロでも、爬虫類ショップで売られている外国のヤモリにはカラフルなものがたくさんいます。我が家にいるのは緑色の体に朱色の筋の入った「ヒラオヒルヤモリ」と頭の黄色い「キガシラマルメヤモリ」。やはり足の指の裏に吸盤があり、人の気配がすると素早い動作で物陰に隠れてしまいます。ヒラオヒルヤモリの方は目の上にブルーのアイシャドーが入っているのも特徴のひとつ。こちらはヒルヤモリという名の通り、昼間に活動します。キガシラマルメヤモリは夜行性です。
ヤモリというと、このテのカベチョロタイプを想像する人が多いのですが、ヤモリには吸盤のないものもいます。ペットヤモリとして人気の高いもののひとつに、レオパードゲッコー(ヒョウモントガケモドキ)というヤモリがいますが、こちらはカベチョロと違い、吸盤がないので手に持って観察することも可能。カベチョロと違って、人の気配で逃げることはあまりありません。むしろ近寄ってきてこちらを観察しているほど。こういうペット的なヤモリはニホンヤモリのようにその辺で見かけるというものではなく、爬虫類ショップなどで見ることが出来ます。
身近な爬虫類、ニホンヤモリ。よく見ると足や舌がトカゲと違うことが分ったり、日によって体色に変化があったりとなかなか興味深い生き物です。トカゲのような姿ゆえにギョッとされることも多いようですが、彼らはとても臆病な生き物。人に悪さはしないので、おうちの壁や天井で見かけたら、なるべくそっとしておいてあげて下さいね。人知れず家を守ってくれているのですから。
そうそう。余談ですが、よく「ヤモリ」と「イモリ」の区別がつかないという人がいます。姿は似ていますがヤモリは陸の生き物。イモリは水の生き物。「ヤモリは家を守り、イモリは井戸を守る」と覚えれば分かりやすいですね。
(フリーライター/中元 彩紀子)
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