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「光るつらら」の大実験、1/8札幌で開催!


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 私が「光るつらら」のことを知ったのは、秋に催された友人の結婚式でのことでした。同じ円卓でたまたま隣り合わせた2人が、「光るつらら」の制作をしているというのです。いただいた名刺には「tent」というユニット名が書いてある。その横に「環境デザイン開発」との文字が。もしかすると、この人たちって、けっこうビーパルぽいのでは? 

 「面白そうですね、こんど何かやりましょう」と言って、その夜は別れました。ワインと日本酒でへべれけになっていたこともあるし、こういうことって、ついつい社交辞令で終わることが多いからなあ、なんて思っていたりもしたのですが、今回そうならなかったのは、このエアービーパルのおかげです。(ありがとう、エアービーパル!)

 12月17日の日曜日に、湯島天神のすぐとなりの雑居ビルにある「tent」のオフィスを訪ねました。その日は、バイトの学生を雇って「光るつららの素」をつくる作業をしているというのです。事務所のドアを開けると、若い男子学生が、もくもくと、こつこつと、半田ごて片手に作業をしています。たばねた電線に発光ダイオード(LED)を取り付けていく作業です。みんなひたすら無言です。
 入口脇には、レストランで見たことのあるステンレス製の「塩コショウ入れ」がずらり。そして、「水道の蛇口」もずらり。
 なんじゃ、これは? これが「光るつららの素」なんですか?
 
 「こちらが完成品です。こうやって蛇口をひねると、光が点滅するんですね。蛇口をひねっていくと、ぽたぽた落ちる水のように、光の速度が変わります。ほら、こんなふうに」

 久原さんがとりだした装置は、じつにへんてこでした。
 「塩コショウ入れ」の中には、9V電池と、トランジスタのような謎のパーツが。この装置を軒先につるしておくと、雪解け水がLEDケーブルのまわりで凍り付き、全体がつららに包まれます。
 上についた蛇口をひねると、LEDが発光し、つららの中をドロップみたいな光の粒がしたたり落ちるという……。

 昨冬に行われた屋内実験の模様を動画で見せていただきました。
 うわっ、すごい! うむ、でも、ちょっと待てよ。これは、何かに似ているぞ……。そうそう、年末に街のあちこちで目にしたあれですよ、あれ。
 似ていますよね? と聞いてみると、田中さんから「いやいや!」との答えが帰ってきました。

 「光るつららは、むしろクリスマスツリーの反対ですね。ぼくらが考えているのは、クリスマスツリー的なものから、いかに離れるかということ。クリスマスツリーは、木を人工的な光でデコレーションしていく。つまり『自然』を『人工的な光』で装飾していくというものです。光るつららは、その反対で、『人工的な光』を、『自然』が覆っていく。つまり、自然が主体なんです」

 田中さんの話はつづきます。

 「ぼくは札幌出身でして、大人になって札幌に帰ったときに、いつのまにか街中からつららが消えたなぁ、と思ったんです。ぼくが子供のころは、トタン屋根がいっぱいあって、冬の朝は、街がつららだらけだった。でも最近、家がみんな断熱構造の家になって、街からつららが消えてしまったんです。そんなつららを、もう一度、文化として再生したい。つららって、単純に自然現象として美しいものだと思うんです」

 つららの激減は、トタン屋根が激減したことと関係があるのでした。トタンは、つららに好適な環境を生み出していました。水が流れやすい。熱伝導性が高い素材なので、水を冷やしやすい。氷ができやすい、というわけです。
 トタンが消え、つららが消えました。変わったのは、日本の冬の景色だけではありません。ぼくらの心の中からも、何かが消えたのではないか? という気もしてきます。トタンやつららとセットになっていた、ぼくらの感性、風景の感じ方といったようなものがあったのではないでしょうか? 
 あのころの「いかにも寒い」感じの冬景色は、もはや存在しませんが、「つらら的ひんやり感」とでもいうべき感覚は、いまだに、けっこう多くの人の記憶の中に残っているような気がします。

 そのような、つららファンにとってたいへんに厳しい時代状況下に、きらめく救世主のように現れたのが、「光るつらら」でした。
 「愛でて楽しむためのつらら」という、発想の転換! 旧来の価値観の転覆! だけどしかし、これは単なるアート作品ではありません。

 「ズバリ、商品化を狙っています。夏に庭で植物を育てるのと同じように、つららを育成する。いわば『冬のガーデニング』として提案したいと思っています。まあ、つらら栽培って、夏に庭で植物を育てることよりは、デンジャラスですけどね。実際、アタマにつららが刺さってケガをしたなんて人が、ぼくの近所にもいました。でも、そういうデンジャラスなところがあるのが自然だと思うので、そういうところも含めて、つららを再生したいんです」

 このアヤシげな装置は、つらら栽培のための実験商品なのでした。いわば「つららの植木鉢」です。近い将来、北海道や東北地方のガーデニングショップで、「光るつらら栽培装置」が人気商品になる日が来るかも知れません。

 久原さんと、田中さんは、昨年、屋内でつららをつくるワークショップに成功しました。今年は、世界初! 屋外での大実験に挑戦します。雪原に明滅する40本の光るつららを、想像してみてくださいよ。すごいですよ、きっと。札幌近辺に在住のみなさん、ぜひ見に行ってみてください。

 ところで、12/17の私の取材ノートには、こんな言葉が書いてあります。
 「美しさは、見慣れてしまうと、なくなってしまう」
 そこに傍線をぐいぐいっと引きながら、これは、久原さんの言葉なはずだけど、はて、どんな話をしていたんだろうか? と考えています。
 遠くの美人より、近くの古女房。
 という言葉が、ふと頭をかすめましたが、いやいや違いますね。正月ボケ週間を利用して、もうすこし考えてみたいと思います。「つらら的ひんやり美」について、もうすこし、いろいろなことを。

(ビーパル編集部/住川 亮)


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◇◆DATA◇◆
『tent制作「光るつらら」展示』
作品展示:1/8(祝) 18時〜
場所:真駒内公園内(札幌市南区)
見学は自由です。

tentからのメッセージHPはこちら

tentのホームページはこちら

*詳細はメールでmail@tent-info.com (本当に)お気軽にお問い合わせください!
必ずお返事します!

<お知らせ>
環境装置デザイン開発ユニット「tent」の次回作は「光るコンパス」だそうです。風向きに応じて、光が明滅するという装置。こちらの詳細も、またどこかでお知らせできればと思っています。



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