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豪雪地帯の古民家暮らし・2/毎日が焚き火の生活


●ウェブサイト『もういちどビーパル』に、堀田貴之『おとなのずる休み』連載中(本日更新)。

●堀田貴之のブログ『法螺吹き男爵の後悔日誌』では、古民家での日々の暮らしを紹介。
 この冬を過ごしているわが庵の、いまでいうところのリビングルームは、十二畳の広さをもつ畳の部屋だ。天井の高い雰囲気のある畳の間だが、少し前のこの庵のことを知っている人が、「昔は板の間だったから、囲炉裏があるはず」と、いったのだ。
 そこで色めきたった僕は、その言葉をたよりに畳をはがしてみた。畳の下はびっしりと板が敷いてある。何枚かの畳をはがしたとき、板のサイズがほかと違うところが出てきた。ここだ。と、その板をはがしたら、出てきた、出てきた、囲炉裏が出てきた。これで、毎日焚き火ができる。こうして囲炉裏のある生活がはじまったのだ。

 まずは、薪ストーブを使っているなべくら高原『森の家』から、大量の灰をもらってきた。床下から出てきた囲炉裏は、ずっと使われていなかっただけに湿った土が盛られているだけだったのだ。つぎに、隣接する畳の保護のために、れんがをまわりに置いた。これで見た目もよくなった。
 さっそく焚き火をやってみたが、さすがに部屋中が煙ってしまう。ごぼごぼと咳も出る。こりゃいけんということで、炭を燃やすことにした。そこで大事なことに気がついた。そうだ。炭火といえば焼き物である。
 というわけで、古民家暮らしを始めてからは、魚の干物や厚揚げ、さつま揚げ、それに餅がわが主食である。

 それはそうと、炭火をうまく燃え続けさせるにはコツがいる。子どものころは、わが家でも火鉢で炭を燃やしていたが、いまとなってはそうした生活もすっかり忘れている。ひとりの友人が、空き缶の両端を空けて煙突状態にし、炭の上におけば、上昇気流を作ることができるから、うまく炭火が大きくなるよ、と教えてくれた。なるほど、これはいいアイデアだ。

 ならば、と囲炉裏の上にケリーケトルをおいてみた。ケリーケトルというのは、本体の中央が貫通した煙突状になっていて、そのなかで焚き火をしてお湯を沸かす、というへんなヤカンである(へんなオカン、ではない。へんなオカンは、わが母親だけでじゅうぶんである)。
 キャンプではなにかと便利なケリーケトルが、囲炉裏でも大活躍である。というわけで、わが庵ではいつでもお湯が沸いている。というわけで、最近はもっぱらお湯割りである。

 続いては自在鉤だ。囲炉裏には自在鉤がつきものなのだ。海賊とアイパッチ(眼帯)のように。そこで、3.5メートルもある高い天井の梁にハンモック吊り下げ用の金具をつけ、そこからザイルを垂らし裏山の倒木をぶら下げた。ダッチオーブンも吊せるじょうぶな自在鉤を作ったのだ。高さ調節は、自在結びで。
 さらには、火吹き竹。これもまた囲炉裏にはつきものなのだ。山賊と山刀のように。もちろん、手作りである。こうなると、囲炉裏に似合う昔ながらの鉄瓶とか鉄鍋も欲しいなあ。それにしても、毎日、部屋で焚き火ができるなんて、こんなにぜいたくな暮らしはない。

 古くは、囲炉裏のそばへ座ってもらうことが、いちばん大事なお客さんへのもてなしだったという。火は、そのものがごちそうなのだ。というわけで、今日も囲炉裏の横に寝転がっている。そして、炭火をいじっているだけで一日が過ぎていった。
 囲炉裏生活も、困ったもんだ。

(法螺吹き男爵/堀田貴之)



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