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“田んぼのモー娘。米”が高島市から販売開始!


●「たかしま生きもの田んぼ米。」のプロデュースを高島市とともに手がけているのが京都市内に本拠地を置く「アミタ持続可能経済研究所」。農林水産業や自然再生事業を専門とする民間研究所です。シンクタンク(頭脳集団)ならぬ「ドゥタンク」(行動集団)を自称するユニークな存在が、徐々に注目を集めています。

●アミタ持続可能経済研究所が発足記念に出版したマニフェスト本が「自然産業の世紀」。持続可能な社会の実現に向け、理念から経済論、暮らしのあり方、現場からの問題解決の実践などがコアな視点で取り上げられ、ビーパル「青空図書館」でも紹介されました。
 「コーウ、コーウ、コーウ」
 水を張った冬の田んぼからコハクチョウの鳴き声が響いてくる。
 「冬の田んぼに水を張ると白鳥が来るって聞いたから試しにやってみたんやけどね、本当に翌日から群れで降りてきたからびっくりしましたよ」
 琵琶湖のほとりに近い安曇川地区で農業を営む梅村元成さんが語った。

 ここは滋賀県の北西部にあたる高島市。二年前に6つの町村が合併して生まれた新しい自治体だ。高島の気候は寒暖の差が大きく、米どころの近江の中でも特に美味しいお米の産地として知られている。この高島市で進められているのが環境保全型農業を推進する「たかしま生きもの田んぼ。」プロジェクトだ。梅村さんは、このプロジェクトに参加する農家の一人。田植えの時期の梅村さんの田んぼの周りでは、可愛いヒナを連れ歩くタマシギやケリの姿が見られるという。

 農薬(殺虫剤や除草剤)などによる「食の安全性の危機」が問題視されはじめて久しいけれど、同時に失われてきたのが「田んぼの生物多様性」。メダカやドジョウ、カエルなど、以前はどこの田んぼにも当たり前にいた生き物たちが姿を消し、同時にそれらの生きものを餌とするトキやコウノトリが滅んでいった。

 こうした現状に対し、「たかしま生きもの田んぼ。」プロジェクトは環境に配慮した農法を実施している農家とともに、高島の田んぼで育まれている豊かな生物多様性をブランド力とした新銘柄米を売り出していこうという取り組みなのだ。この環境と経済の両立を目指す取り組みから生まれた「たかしま生きもの田んぼ米。」がこのほどインターネットで購入できることになった。こだわり農家のお米販売サイト「おこめナビ」に、滋賀県から初エントリーしたのだ。

 「たかしま生きもの田んぼ。」のユニークな点は、特定の種の生物ではなく、生物多様性そのものをブランドにしていることだ。トキやコウノトリのようなトップスター的な存在の種こそいないけれど、絶滅したトキと似た食性で近年全国的に数を減らしているチュウサギなら高島の田んぼではごく普通に見ることができる。
 希少種となったダルマガエルやタガメをはじめ、様々な水生昆虫やトンボ、ホタルなども健在だ。加えて琵琶湖水系の固有魚種も多く見られる。こうした「色々な生きものの顔ぶれの豊かさ、にぎやかさ」こそが高島市の自慢なのである。いわば「モーニング娘。」のようなもの。「たかしま生きもの田んぼ。」とプロジェクト名に句点を入れた理由はそこにあるらしい。

 高島市は、日本海側とを隔てる山間部から平野部、そして琵琶湖の湖岸にいたるまで、多種多様な環境の水田が広がっている。高島市には日本各地の田園風景が凝縮されているといっても過言はないほどだ。
 たとえば、豊かな湧水で有名な新旭地区の針江で無農薬・無化学肥料の米を栽培している石津文雄さんは、琵琶湖から産卵のため上ってくる魚たちのために魚道を設置する取り組みをしている。
 「夜中に田んぼに入ってきたナマズやフナが稲の周りで卵を産んでから、また湖に帰っていくんだよ。田んぼの水を落とす時期には、ちっちゃいフナやナマズの仔がいっぱい用水路へ落ちていくね」

 もともと水田稲作は、人と生物の多様性が共に栄える奇跡の共生システムだった。それを現代において再構築するには、まず農家が自分の田んぼの生きものの顔ぶれを知ることが重要。そこで、日常の農作業の中で見られる生きものをリストアップするための生きもの調査にも取り組んでいる。 
 「この水草、完全無農薬の田んぼにしか生えてないけどなんやろね?」
 安曇川地区の平野部で米作りをする清水光男さんが手にしていたのは、環境省が「絶滅危惧1A類」に指定する希少植物、シャジクモだった。

 山間部の田んぼでは、また違う生き物が見られる。今津地区の椋川集落で同志の農家たちと減農薬栽培に取り組む井上四郎太夫さんは誇らしげにこう語る。
 「農薬は通常の4分の1以下に抑えてます。減農薬栽培に取り組む農家戸数の割合の高さでは、ここは県内随一なんですよ」
 井上さんの田んぼではモリアオガエルなど多種多様のカエルが産卵し、イシガメが畦で日光浴をする。イシガメの生態は小川から水田、森に至る里山全体の環境を多面的に利用するものなので、近年は里山環境の悪化に伴い全国的に減少している。イシガメの健在は、地域をあげて環境保全に取り組んでいる成果の現われだろう。

 こうした取り組みが今後、より広く展開されるか否かは、消費者の支持が得られるかどうかにかかっている。多くの生きものと共に育まれたお米を食べるとき、水と、大地と、大空に生きる命と一体化できる喜びが得られるはずだ。本当に美味しいお米を、生きものたちの謳歌とともに召し上がってはいかが?

(ライター/多田 実)


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◇◆こだわり農家のお米販売サイト おこめナビ◇◆
「たかしま生きもの田んぼ米。」の購入案内はおこめナビの購買者向けページから【お米を選んでみる】のボタンをクリックし、産地検索で【滋賀県】を選んでください。登録された滋賀県内の農家の一覧が出てきます。その中で「たかしま生きもの田んぼ米。」のブランド名を掲げているのがプロジェクトに参加している農家です。各農家のこだわり内容も必見です! 購入を希望される方は各農家の販売案内ページから商品を選び、送り先の記入などをして発注すれば代金引換でお手元に届くシステムになっています。

◇◆たかしま生きもの田んぼ。 お問い合わせ◇◆
高島市 産業循環政策部 農業振興課(直通) TEL/0740-25-8511
アミタ株式会社 持続可能経済研究所 TEL/075-255-4526



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