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南極観測50年。西堀榮三郎という人とその時代


●50年を迎えた日本の南極観測。詳しくはこのサイトで。

●南極越冬隊、初の遠征から50年後の現在は複数の女性が参加しており、隔世の感があります。現在南極基地で活躍中の女性ドクターのブログです。
 西堀榮三郎(以下敬称を省略させていただきます)という人をご存じない方でも、「雪よ岩よ 我らが宿り〜」と始まる『雪山賛歌』は何度も口ずさんだことがあるでしょう。作詞は西堀榮三郎。1903年京都に生まれ、科学者でありヒマラヤなどにも足跡を残した探検家で、1957年の日本初の南極越冬隊長として知られている人物です。

 日本の南極観測が始まって50年。去年から今年にかけて記念行事が相次いでいますが、そんな中、西堀榮三郎の三男・峯夫さんによる「父・西堀榮三郎を語る〜日本初の南極越冬隊長の探検人生」が昨年末にありました。胸が熱くなるような探検人生に聞き入った2時間あまり。ヒーローの知られざるエピソードも含めてご報告しましょう。

 この日、数々の写真をスクリーンに映し出しながらお話は進められました。京都の老舗に生まれ丁稚さんや番頭さんに囲まれた少年時代、当時は珍しかったバイクにまたがる学生時代の勇姿などに続いて、目を引いたのは1922年に来日したアインシュタインとの1枚。京大在学中に通訳として3日間京都案内したもので、このとき科学技術者を志すことを決意したようです。

 また、三高(旧制高等学校)時代の写真には場内騒然。クラスメイトに、霊長類研究の第一人者・今西錦司や仏文学者・桑原武夫など、日本の学術界の道しるべを築いた人が何人も! 彼らとともに京都大学山岳部を創設。若き才能たちは山の上で語り合い、刺激し合って交流を深めていき、この時代に『雪山賛歌』が生まれました。その後も生涯にわたって山を愛し、マナスル登山のきっかけをつくり、1980年にはチョモランマ登山隊長として登頂成功へと導いた登山家でもあったことは山好きの方ならご存じでしょう。

 さらに「今西錦司は叔父なんです」という峯夫さん。「ええ!?」とどよめきがあがりました。西堀と今西は子供のころから親しく、三高、京大、ともに歩んだ仲。親友の妹・美保子が自分を慕っていたことから結ばれ、今西とは義理の兄弟となりました。ときは4月。「八重桜の花びらをしきつめて、お姫様だっこをして新居に入ったそうですよ」と微笑む峯夫さん。西堀のロマンチストな一面を披露してくれました。

 それから西堀は、京大助教授になるも大学を飛び出して東京に移り、東芝に入社。有名な真空管『ソラ』を発明するなどの功績をあげます。東京大田区鵜の木に建てた家は山小屋風の建物。西堀らしい創意工夫が随所に込められていました。南極出発前に、リビングルームで記念写真を撮っていますので、中の様子がわかると思います。

 その記念写真は「これが最期になるかもしれない」という思いで撮った写真でした。当時の南極観測は命がけ。初代南極観測船『宗谷』に、『南極物語』にもなったタロとジロとともに乗り込み、生きて帰れるかわからない未知の世界への挑戦だったのです。このとき峯夫さんは中学1年生。「親父ならきっとやってくれると信じていました」。

 家庭では優しい父親だった西堀。峯夫さんは怒られた記憶がないといいます。怒るのではなく、柔らかな京都弁で「そないいうたってな〜」と諭されたそうです。
 生前の西堀を知る人はみな「話術が上手で、何時間話をしても人を飽きさせることはなかった」というように、まれな天分を持つ魅力的な人物だったようです。ユーモアと比喩に富んだ「石橋を叩けば渡れない」「出る杭をのばせ」「体験による生きた知識を」などの語録が今も人々の心に生きており、そうした語録を組合せた『西堀かるた』が作られています。その一枚一枚をながめていると、あらゆる分野で探検精神を貫いた西堀榮三郎の人柄が浮かんでくるようです。
 このかるた遊びをしながら、もっと深く「西堀の世界」にひたってみたくなりました。

(ライター/杉村晴子)


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◇◆DATA◇◆
『西堀榮三郎記念 探検の殿堂』
様々な分野で活躍した西堀榮三郎の業績を紹介しています。
住所:滋賀県東近江市横溝町419番地
TEL:0749-45-0011
HP:http://tanken-n.com/

※協力:『昭和のくらし博物館



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