 |
 |
新米母さんボルネオ行き・8
日本人の食卓に直結。パーム油の生まれる場所で、今
|
マレーシア・ボルネオ島。そこは、まさに日本の食卓に直結している場所でした。 私たち家族が滞在するダナンバレー・フィールドセンターはサバ州の熱帯雨林の真っ只中。ここはボルネオらしい「密林」ですが、車で1時間ほど町の方に向かうとこの島の「現実」が現れます。それは砂埃をあげて走る、材木を載せたトレーラーにオイルパームの果実を山積みにしたトラック。この材木と果実を追っていけば、日本にたどり着くかもしれないのです。
身の回りにある加工食品を手にとって、裏を見てみてください。原材料の欄に「パーム油」「植物油脂」とは書かれてはいませんか? 「植物油脂」と書かれているものもパーム油のことが多く、私たちは驚くほどパーム油を口にしているのです。
日本ではパーム油の約8割が食用に、残りの約2割が非食用の洗剤や化粧品などに使用されているといわれます。
さて、オイルパームから採れるパーム油は、油脂の中で最も安価で、健康にもよいとされるなど様々なメリットを持つ、枯渇しない重要な資源です。2005年には世界で生産される植物油の中で第一位(2005年)になりました。
マレーシアはこのパーム油の世界最大の生産地。2位のインドネシアとあわせると、世界のパーム油生産の80%以上を占め、その輸出量の約5割が日本に輸入されているそうです。ボルネオ島での生産は特に多く、ここサバ州のオイルパームプランテーションは1984年から2004年までの20年間に約7倍に拡大し、州土の約2割を占めるまでになっています。
それにともない、森林が伐採され、スマトラサイ、ボルネオゾウやマレーグマ、オランウータンなど多くの動物が棲家を失い、絶滅の危機に瀕しています。木材伐採よりさらに問題視されているのは、森が皆伐されること、そしてパーム油の原料となる果実を食べに、畑にやってくる動物たちが殺されていることです。先日、ダナンバレーの近くでもボルネオゾウのメスの死体が見つかりました。肉も皮もとられず、ただ殺されたのでした。
オイルパーム畑にはその他、農薬による土壌汚染や違法移民による低賃金労働など数多くの問題を抱えています。そのために2003年にできたのが「持続可能なパームオイルの円卓会議」(Roundtable on Sustainable Palm Oil = RSPO)。参加している日本企業は少数ですが、2004年にオイルパームとボルネオゾウの問題を放送した環境系の番組によりパーム油の事実を知って、この会議に参加した洗剤メーカーの活躍は、ボルネオの研究者でも知っている人がいて驚きました。
「植物性=環境にやさしい」だけではない一面があるパーム油ですが、今の生活には不可欠で、マレーシアやインドネシア経済を支えているために、けっして否定はできません。しかし、あの「ボルネオに来なければよかった」とさえ思うほど胸の痛む、オイルパーム畑の光景を思うと、現状を改善する必要があるのは確かです。
そこで、私達ができることは、まず自分たちの買っている商品を知ること、そしてパーム油問題に取り組んでいる企業のきちんとした商品を選ぶ目と意識を持つことではないかと思います。私はこの問題にショックを受けてから、特にインスタントやレトルト食品にパーム油が多く使われていることに気付き、手作りできるものはするように心がけています。しかし代用できないものも多いのが実状です。是非、食品メーカー等が上記の会議などに参加してパーム油のよりよい基準をつくり、罪悪感無くパーム油を口にできる日が早く来ることを、心から願っています。
昨年末、満を持して日本で「ボルネオ保全トラスト」が立ち上がりました。企業と消費者のパーム油への意識が高まるきっかけになることを期待しています。
(新米母さんライター/半谷 美野子)
------------------------------------------------------
◇◆パーム油問題参考HP◇◆
サラヤ株式会社
BBEC(ボルネオの自然と国際協力)
財団法人 地球・人間環境フォーラム
WWFジャパン
<参考文献>
「Eco borneo ボルネオ・ネイチャーブック」(山と渓谷社)
|
|