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職人の作った“本物の桶”ギターが高原に響く


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 ボディは直径33cmの円形、厚さは10cm。オール天然ヒバで、トップとバックは厚さ5mmの三枚接ぎ。サイドは約1cm厚の柾目板で、竹のタガが締めてある。ボディ中央には蝶型のサウンドホール。弾いてみれば♪ジャラ〜ン……まぎれもないギターである
 宮城県大崎市鳴子鬼首(おにこうべ)地区の大沼幸男さん(47)は平成10年、いとこである桶職人・金田孝一さんの手を借りてこの桶ギターを生み出した。

K.ヤイリのギターにOKシリーズというシャレで作ったような桶ギターがあるんです。面白いから買って、ある日金田さんに見せたら、こんなの桶じゃねえ! って言われた。じゃあ本物の桶で作ってみようよってことになったんです」
 金田さんは、樹齢200年の地スギやヒバを使って桶をこしらえる73歳の職人である。無垢板(メーカー風に言えば単板)でない、タガも使っていないものを、真っ当な桶と認める訳にはいかないらしい。

 「金田さんが作ったボディをK.ヤイリに送って、ショートタイプのネックをつけてもらいました。弦長600mmですかね。材が厚いぶん音は外に広がらないので、ピックアップで拾います。音は固めだけどバランス良くて、いじって変えやすい音ですね」

 大沼さんと金田さんが暮らす鬼首地区は、宮城県北西部に位置する奥羽山脈の山里である。温泉郷とスキー場、ペンション村、オートキャンプ場もある高原リゾートだ。大沼さんは大崎市の職員で地域づくりを担当し、自らも仲間7名と「縄文音楽団 鬼」を結成して、小中学校の催しや地元で開催される環境イベントでの演奏活動を平成2年から続けている。

 「鬼首はけっこう縄文の遺跡が見つかっている場所で、太古から人の暮らしがあった土地なんですよ。音楽はどんなのって聞かれると言葉では表しにくいんですけど……使うのは素焼の土器に皮を張った太鼓、竹笛、木笛、土笛とか。外から持ち込んだのはサヌカイト(香川産)くらいで、あとは自分たちで作れるものが多いですね。プリミティブな音……うん、そうでしょうかね。これも伝統的な生活用具でギターの音を出しちゃったところがオモシロイですしね」

 その後、メンバーが桶ベースも発注製作し、演奏に使っているという。
 9年間弾き込まれた桶ギターはボディのあちこちに傷があるものの、色合いも深みを増して(さすが天然素材!)貫禄たっぷり。これからもっともっと、味わい豊かな音色になっていくことだろう。

(宮城県在住フリーライター/渡辺 征治)



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