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神々の宿る森、アラスカ原生林と日本の関係


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 アラスカ州のシトカからやってきたクリンギット(Tlingit)族のボブ・サムさんをご紹介したい。
 彼は米国内のみならず全世界を駆け巡り、民族が受け継いだ物語を語り継いでいるストーリーテラーだ。アラスカで亡くなった写真家・星野道夫さんの友人でもあった。そのクリンギットさんが南東アラスカの森の現状を訴えるために来日。

 5月14日は「神々の森林(もり)から〜アラスカ南東部の原生林」と題する、フォト&トークセッション原美術館のザ・ホールにて開催された。
 主催は温帯雨林ネットワーク本部:米国シアトル)。
 “熱帯雨林”という言葉は聞いたことがあっても、“温帯雨林”はあまり知られていない。
 昨年彼の地を訪れたメディアパーソナリティの芳村真理さんによれば、『屋久島のようなところ』だという。
 どんな森よりも有機物の蓄積が多く、豊富な栄養素が川を伝って海に流れていく。そんな豊かな森が、南東アラスカにある。ところが現状は大量伐採によって、その大きな自然が急速に壊されている。

 彼の地ではハイダ族やクリンギット族といった少数民族が暮らしていて、ほんの50年ほど前まで、森から生活に最低限必要なものを得て、貨幣経済の外で暮らしてきたという。その森から、今大量に木が伐られ、日本にも輸出されている。1000年の森が倒され「生物学的砂漠」と言われる状態となると、1000年以上待たないと森は回復しないそうだ。

 ボブさんは「私たちの民族にとって木はとても重要。木がなければ私たちは生きることができません。今日は、皆さん自身が自分は木だと思って話を聞いてください」と、クリンギット(「人間」という意味)族に伝わるワタリガラスの話を語り始めた。

 物語はワタリガラス(時として人間をワタリガラスに喩えて物語は受け継がれる)が木を使いつくして世界が真っ暗になるところから始まった。万物が魂を持たない世界で、ワタリガラスは青年であるワシに、海の向こうから昇ってくる炎を取ってきてくれと頼む。ワシは、火の中に飛び込んで腕に括りつけられた長い棒で炎を取ってくる。全速力で飛び続けるワシの顔には炎が迫り、ワシは泣き叫ぶ。しかし、ワタリガラスは「世界中の人々を助けるためだ。勇気を出せ」とワシを導く。ワシはそのまま飛び続けて、ついに、地面に、崖に、雪に、森に火を投げ入れ、動物や植物たちが魂を得る。
 ボブさんは、最後に「森からくる食べ物を食べなければ私たちは死んでしまう。どうか私たちの森を守ってください」と話を結んだ。

 続いて三重県の林業家で、一昨年前に南東アラスカを訪れ、ボブさんに出会った速水亨さん(速水林業代表)もトークに加わり、「日本で使う木材は、多分半分ぐらいまでは日本の森で賄えるでしょう。しかし残念ながら2割しか使われておらず、残りは輸入です。アラスカに残る巨木は7割が消滅し、その多くが日本に入ってきました。例えば寺社仏閣を建てるためにアラスカの1000年の木を使い、その隣に200年か300年のスギを持ってきてしめ縄を巻き拝むというような奇妙なことがある。私たちは今使われている木がどこから来た木なのか、そしてそれが伐られたところで何が起きているのかを知る必要があるのではないか。資源として木を利用するだけでなく、地域の文化や人々のスピリットを誇れる状態で森を持ち続けていけるようにしたい。我々がサポートしていくことで、日本の森林が守られ、世界の森が守られることもあるのではないか」と問いかけた。

(ライター/まさの あつこ)



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