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挑戦・55km! 箱根の山を走った、歩いた、ゴールした!!
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「無謀」という言葉は、こういうときに使うものだ。普段は何もトレーニングしていない僕が、なぜ55kmも走るトレイルランの大会に出場したのだろう。山だから登りもあれば、下りもあり、トータルすると標高差だけでも4000mの登山にも匹敵するのだ。
この日のために揃えたトレランシューズをはいて、スタート地点に並ぶ。周りを見ると、誰もが鍛えぬいた屈強な足をしている。少々気が重い。だが、ダメなら棄権すればいい。
朝6時。合図の音で、ゆっくりと走り始めた。この箱根を会場にした「エンデュランス ランOSJハコネ50K」は、アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」が主催する大会。まずは箱根湯本駅近くから芦ノ湖の外輪山に登り、ぐるりと走る。次に山を下り、湖畔を半周。その後、もう一度600m駆け上り、最高地点の1438mへ。あとはゴール地点まで山を下りるのだ。休みなしだと22時間で歩けるコースを、制限時間14時間。夜20時までに戻らねばならない計算だ。距離、制限時間、標高と、どれをとっても日本トップクラスの大会で、第1回目の今回の参加者は、男子889名・女子139名、計1028名だ。
1000人を越える参加者だけあって、はじめは大渋滞。だが、次第にバラけはじめる。約15km地点の外輪山の最高峰・金時山には9時52分に到着体力がまだ残っているからか、思いのほか早い。だいたい半分くらいの位置にいるようだ。数分後に再び出発。箱根の山はなだらかで、実に走りやすい。そして、眼前には富士山がドンと聳え立ち、素晴らしい風景なのだった。
大会日の10日前からやっとトレーニングし始めた僕だが、唯一アドバンテージがあるとすれば、今回の大会のスペシャルゲスト、ディーン・カルナゼスさんから直接アドバイスをいただいく機会があったこと。彼は350マイル(583キロ)をノンストップで走ったり、南極点まで酷寒のなかを走ったり、アメリカ50州を50日連続、毎日1州ずつフルマラソンまでした超人だ。
そのディーンいわく、「必ずエナジーバーとジェルを定期的に食べ、アミノ酸系ドリンクを飲みながら走るように。1時間に5〜600カロリーを摂取すれば、ダメージが少ないよ」。「準備運動よりも、ゆっくり走り始めることが大事。パワーは少しずつ出していくといい」。僕のショートパンツにお言葉ももらった。「CHARGE!」。ディーン直々にパワーを注入してもらった分だけ、こんな僕でも頑張れるかもしれない。
13時という制限時間がある第一関門には、11時40分56秒に到達。太ももが張り、今にも攣りそうだ。トレイル「ラン」とはいうが、走るのは下りだけにして、残りは歩くことにする。気温は25℃近くあって暑い。歩きながらこまめにドリンクを飲み、行動食を飲み下す。
山を下り、芦ノ湖湖畔。ディーンの教えを守っているからか、意外と元気だ。棄権覚悟だったのに、最後まで行けるんじゃないかと思い始める。制限時間17時の第2関門へは、16時19分05秒に到着。まだ40分の余裕があった。
しかし最大の難関は、ここから。最高地点の神山まで登るのは、疲れきった体には酷だ。案の定、足が止まり始める。小柄な女性参加者にも次々に抜かれる。顔をこすると、汗が蒸発してできた塩でザラザラ。ウエアやバックパックも白い粉を吹いている。神山到着は、18時30分。あと1時間30分しかない。制限時間内のゴールはあきらめた。
だが、要所に立つ係員に尋ねると、「ここからなら、歩いても制限時間に間に合いますよ」。本当に? 気力を振り絞り、ゆっくりと前進を続ける。周囲は薄暗くなり、ヘッドライトを装着。再び係員がいる。今度は「少しだけ走れば、間に合います!」。少し進むと、また係員。「頑張れば、間に合う可能性はあります!」。別の係員は「制限時間はともかく、頑張りましょう!」。状況がどんどんマズくなっているようではないか!?。
仕方なく、走り始めた。だが小型ヘッドライトでは、足元が見えにくい。たびたびスリップしながら山道を抜け、とうとう車道に出る。住民の方々が声をかけてくれる。「ここまでくれば、間に合いますよ〜」。
ゴールしたのは、19時47分16秒。14時間の制限時間まで、あと12分44秒だった。順位は男子597位、女子を含め総合664位。完走できるなんて、僕にしては奇跡的だ! ちなみに完走者は699名、完走率66.7%と、ちょうど3分の2。優勝は日本トップのトレイルランナー鏑木毅さんで、タイムは6時間29分01秒。昼過ぎに到着していたとは、いやはやすごい。でも、初めてのトレイルランで完走できた僕も、我ながらよくやったと思うのでした
(ライター/高橋 庄太郎)
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