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塩の芸術。ポーランドの岩塩坑の地下深くへ


●京都の祇園祭・大阪の天神祭と並び、日本三大祭りに数えられます赤坂の日枝神社の「山王まつり」が開催中です。明日14日は、「茅の輪」をくぐり、罪穢・災厄を祓い、延命長寿と無病息災を願う「山王御祓並鎮火祭」が行なわれます。お祭りは16日まで。
 ここは、お城か? 劇場か? いいえ、地下101メートル。驚くなかれ、シャンデリアも、奥の祭壇も、足もとのタイルも、すべて塩でできています。なめると確かに塩っぱい。ここはポーランド南部にあるヴィエリチカ岩塩坑の中にある礼拝堂なんです。

 ポーランドといえばヨーロッパの真ん中。でも、2000万年前、この辺りは海でした。地殻変動で陸となり、海水が蒸発して巨大な岩塩の層ができました。13世紀から採掘された岩塩は「白い金」と呼ばれ、中世ポーランド王国の収入源の3分の1をまかなっていたといわれます。
 700年たった今もなお採掘されていますが、世界遺産に登録され坑道の一部を観光コースとして公開していて、5月末に行ってきましたのでご紹介しましょう。

 まずは、間近でみた美しい塩の芸術をご覧ください。驚くのは、プロの彫刻家ではなく、ここで働いていた鉱夫たちが彫ったものだということ。ポーランドに伝わる神話の場面ローマ法王像
 そして、この聖キンガ礼拝堂の周囲の壁には、キリストの誕生から最後の晩餐までキリストの一生のモチーフが彫刻されています。礼拝堂の中央に祀られているのは塩の結晶に包まれたキンガ姫。礼拝堂は作業の安全を祈願するために作られ、今も毎週日曜日ミサが行われています。

 それにしても美しい岩塩。日本ではサラサラの食塩が一般的なので、じっくり見たことがなかったけど、大理石のようであり、クリスタルのようであり。良質の塩の結晶はオレンジ色をしていて、鉱物が混じったものは緑色や青みを帯びています。長い年月をかけて地中の圧力を受けながら硬く結晶した岩塩はクリスタルソルトといわれ、まさに“海の化石”。ますます神秘性が増して見えてきます。

 さらに圧巻は、アリの巣のように掘られた坑道。総延長300キロ、深さ300メートルにもおよび、入り組んだ坑内をガイドさんが案内する見学ツアーで2時間かけて歩き回ります。頭上を見れば落盤を防止するための木材が複雑に組まれ、眼下を見れば地球の底まで続くようでクラクラします。掘り出してできた部屋は2040ヶ所も。現在はその一部を改造してコンサートや結婚式のできるホール、博物館、カフェバーがあるほか、地下211メートルのところにはアレルギーや呼吸器系疾患の治療をするサナトリウムもあります。サナトリウムでは塩水が吹き出す部屋にベッドをならべ集中治療を行っているそうです。

 長い歴史のあるヴィエリチカ岩塩坑には、コペルニクス、ゲーテ、ヨハネ・パウロ2世や各国の要人などが訪れており、いまヨーロッパで人気急上昇のスポットとして多くの観光客が訪れています。
 もちろん帰りのお楽しみはお土産。岩塩を加工したアクセサリーやライトなどがたくさん売られていました。

 とはいえ、日本からは16〜20時間もかかり、まだまだ日本では知られざる観光地。首都ワルシャワから列車で2時間半の古都クラクフまで行って、そこからさらにバスで45分のところですが、機会があったらぜひ訪れてみてください。

(地球歩き隊/浜田 ナツミ)



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