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初代越冬隊員も聞いた講談『南極物語』!?


●airBE-PALでもおなじみ、現在南極基地で活躍中のドクター・志賀尚子さんのブログはこちら。リアルタイムの基地の情報を知ることができます。仲間みんなで力をあわせ楽しく暮らそうという工夫が伝わりますね。
 え〜、毎度、おなじみ南極のお話。ご好評いただいた『南極観測50年。西堀榮三郎という人とその時代』(2月13日配信)に続きましての第2弾です。エアービーパル始まって以来、初の“講談”でお届けいたしましょう……!?
 というのは冗談。右上の写真は「講談で聞く、南極第一次越冬」と題して『昭和のくらし博物館』で開かれたライブ&トークの模様。
 日本の南極観測が始まって50年。人々に感動を与えたタロ・ジロの奇跡の生還が映画『南極物語』になって、はや20数年。その話が、今、なんと講談になったと聞いて行ってきました。

 講談といっても「赤城の山も……」の古典と違って、「“宗谷”、発進!」パカパ〜ン♪ といった心地よい音楽にのせた新しい『南極物語』。語るは女流講談師・宝井梅星さん。脚本は羽野誠司さん。第一次越冬隊員・北村泰一さんの原作から脚本を起こし、それを北村さん自らチェックを入れたという、ウソいつわりない物語。音楽家でもある羽野さんの音楽にのせて、はじまりはじまり〜。
 「こうして“宗谷”は、今、はるか2万キロのかなたへと旅立ちます。乗り組むは、屈強な男たち、22頭のカラフト犬と1匹のネコと2羽のカナリア。目指すは、雪と氷につつまれた、南極大陸〜」。ジャカジャカジャ〜ン♪

 カッコいいですね。ほんの50年前に日本中が同じ夢に酔った大冒険があったなんて。それも昭和の苦しい時代、莫大な資金の一部は国民からの募金でまかなわれ、学校や職場で一人一人が5円、10円と募金したお金が国家プロジェクトを実現させたということも、講談の中で知りました。
 そして、日本の観測地となったオングル島プリンスハラルド海岸は、接岸不可能といわれた南極きっての難所。苦労して到達する場面から、昭和基地の建設、犬ぞりの活躍、そしてタロ・ジロとの奇跡の再会にいたるまでを、講談ならではの抑揚のある節まわしで語られます。生きていくだけでも困難な極寒の状況で挑戦しつづけた越冬のドラマ。なん度、胸がジ〜ンとなったことでしょう。

 「ほろっと涙がでそうになりました」というのは初代越冬隊長・西堀榮三郎氏の三男、西堀峯夫さん。講談後にはトークショーがあり急遽かけつけてくれた初代南極観測越冬隊員の作間敏夫さんも加わりました。

 ところで南極というと犬がヒーローですが、実はネコもいて、そのネコがなぜか作間さんになついて、作間さんはネコの世話係にもなっていました。第一次南極観測隊長・永田武氏にあやかって「タケシ」と名付けられ、現在は『こねこのタケシ』という絵本にもなっています。
 「越冬を終えて、飛行機で帰れという指令を受けたとき、タケシくんが私からはなれないんです。わずかな手荷物と片手にタケシくんを抱いて西堀隊長と同じ飛行機に乗り込み日本へ帰りました」。この時の写真はメディアに載ったのでご存じの方もいるかもしれません。

 通信係としてトン・ツーと一日中交信していた作間さんには、今だからいえる話がありました。ある日……。
 「通信の合間にふらりと散歩に出たことがありました。ところが基地周辺は起伏があって、目印は何もない。完全に方向がわからなくなってしまったんです。なんとか雪上車の跡をみつけて基地までたどり着きましたが……。南極は危険がいっぱい!」
 50年の歴史で、たった一人の犠牲者は、ブリザードの日に犬に餌をやるために外へ出て帰らぬ人となったとか。すさまじいブリザードが吹き荒れると、数メートル先も見えないし音も聞こえない。そこであわてて歩き回ると捜索隊の手の及ばないところとなってしまいます。
 「問題はトイレ。当時は“離れ”で用をたしましたが、一瞬にしておしりが凍傷に(笑)。しかし、それも今では基地施設が立派になって帝国ホテル並だと聞いています」。
 女性初越冬隊記者・中山由美さんによると、「ウォシュレットがあり、基地内はTシャツで過ごせるくらい快適です」とのことです。

 隔世の感のある日本の南極観測50年。梅雨の晴れ間となった日曜日の午後、そんなに広くない博物館の庭に椅子を並べて聞き入った人たちの中には、第一次越冬隊員・藤井恒男さんの長男藤井裕士さん、45次越冬隊員の藤田さん、元越冬隊のご家族、日本から必死に呼びかけたアマチュア無線家などがおられ、南極OB会のような盛り上がり。共に胸を熱くしながら、“あの頃”をしのぶひとときとなりました。

(ライター/杉村 晴子)


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◇◆DATA◇◆
講談版『南極物語』
月1回、東京品川区の『船の科学館』の南極観測船「宗谷」の前で辻講釈を行っています。(7・8月はお休み)
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『昭和のくらし博物館』
住所/東京都大田区南久が原2-26-19
TEL/03-3750-1808
アクセス/東急池上線「久が原」駅または東急多摩川線「下丸子」駅下車徒歩8分
開館/10:00〜17:00
入館料/大人500円、小中高生300円
休館/月曜日
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