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田助手(たすけて)の心で棚田もよみがえる
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「郵便局でもない、公民館でもない、レストランでもない。『あ〜こういうことか』とやっと去年分かった」と『愛林館』に足を運ぶようになって3年目のアンドウ君が笑った。
「こういうこと」とは「村おこし」だ。正式には「水俣市久木野ふるさとセンター・愛林館」と言い、熊本県水俣市の委託による村おこしだ。東京からのUターン者、沢畑亨さんが館長を務める。東京でコンサルタント業に一時足を踏み入れたがすぐに引っ込め、愛林館の全国公募に応じて平成6年に熊本へ帰った。人をニヤリとさせるネーミングで毎年恒例となっていくイベントを創作し、久木野(くぎの)内外の人々が出会う場を作る。
開館以来11年目となる今年6月、新たに始まったのは「田助手(たすけて)」だ。「労働力が足りなくて棚田が荒れていくから、労働力をヨソからもってこようと思った」と沢畑さん。全国紙の地方版などが募集記事を掲載し、5日間で延べ10人ほどが「田助手」くれた。
手がけた棚田は地域の中でも最も奥にある。一山超えると鹿児島に近い沢筋の斜面に広がる棚田地帯の中で最も荒れたところを選んで、何年も放置されボウボウに草が伸びていた場所で草刈りを終えた。
物事をキッチリ決めすぎないのが愛林館流だ。複数の地主が入り組む棚田のこと、中には「迷惑だからやめてくれとは言われないだろうから勝手に草刈りやっちゃった」ところもある。「やってみたら感謝をされた」と沢畑さん。おおらかな土地柄ならではだ。
棚田の機能を復元しようと水を張った場所もある。地主のおばちゃんは「4年ぶりのことでうれしかです」と、昔たんぼで見つけた宝物も見せてくれた。
この地区では、田助手に元気をもらい「来年からは自分たちで」と話を始めたそうだ。こうして村は起こされていくのだろう。ところで冒頭の「アンドウ君」は埼玉に暮らす駅員さんだ。一度愛林館を訪れて以来、休みが取れるとフラリとやってくる。「ウチの近くでも何かやろうかなと思っている」という。こうして人々の行動のタネが植わっている。それが愛林館らしい。
(ライター/まさのあつこ)
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