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銀座・並木通り シナノキの謎
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高級ブランドショップが建ち並ぶ東京・銀座に、「並木通り」という通りがあるのをご存じでしょうか。銀座といえば、多くの名曲に歌われた柳(シダレヤナギ)を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、現在はさまざまな種類の街路樹が植えられています。その代表が、長さ1キロにおよぶ並木通りのシナノキです。
シナノキ(科の木)は、冷涼な山地に生えるシナノキ科の落葉樹。東京周辺ではなじみの薄い木です。同じシナノキ科にボダイジュ(菩提樹)がありますが、こちらはシューベルトの歌曲「リンデンバウム」の日本語題として知られるほか、シャカが悟りを開いた木(インドボダイジュ)の代用としてお寺にも植えられます。神聖なイメージのあるボダイジュを模して、よく似たシナノキが植えられたのでしょう。
ところが、この並木通りのシナノキにはちょっとした謎があり、とある樹木サイトの掲示板でも、たびたび論議を呼んでいました。現地の木に掛けられている複数の名札には、「セイヨウシナノキ」「リンデン」「シナノキ」と、まちまちの名前が示されているのです。セイヨウシナノキはヨーロッパ原産の別種で、リンデンはシナノキ類の英名です。しかし、管轄する中央区役所によると、資料上は「全て日本産のシナノキ」となっているようです。果たして本当に日本産のシナノキなのか、それとも外国産のシナノキなのか?
そして、シナノキが開花する6月上旬、その樹木サイトで巡り会った有志5人により、並木通りのシナノキ調査が密やかに行われました。彼らは並木通りの喫茶店に待ち合わせると、テーブルの上にたくさんの葉っぱを広げて勉強会を始めました。今回のために持ち寄った外国産シナノキ類の標本です。店員さんの視線を尻目にハーブティーを飲み終えると、いざ調査開始。並木通りの端から端まで歩くこと2時間、1本ずつ葉や花を手に取りながら、あーでもない、こーでもない、と観察を続けました。
その結果、並木通りには少なくとも4種のシナノキ類が存在することが判明しました。その大半が日本産のシナノキで、所々にヨーロッパ原産のナツボダイジュ、ギンヨウボダイジュ、アメリカ原産のアメリカシナノキが交じり、それ以外にもセイヨウボダイジュ、フユボダイジュが紛れている可能性が考えられました。恐らく、当初植えられたのは全て日本産のシナノキで、その後、枯れた箇所や新規追加した箇所に、外国産のシナノキ類が混入したものと推察されます。全容解明とはいきませんでしたが、4種のシナノキを確認して満足した彼らは、調査後はビアホールの銀座ライオンで盃を交したのは言うまでもありません。
銀座の買い物客を優しく見下ろすシナノキ……その種類もいろいろなら、それを見て楽しむ人もいろいろです。
(とある樹木サイトの管理人/林 将之、写真提供/馬場進、村松亜希子)
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