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海の守り人―おさかなのエコラベル


●「エコラベルがなぜ環境を守るのか?」「ロシアタラバガニと中国ウナギのメッセージ」などなど。一人一人が生活の中で実践できることを通じて、持続可能な世の中を考える。環境goo!の人気連載「ゆるエコ!〜食とくらしの環境経済学〜」はこちら。

●自然資源をもとに多様で持続的な未来へ。徹底した現場主義で農山漁村の価値と可能性を見直し、循環型社会経済システムの実現を目指す。アミタ持続可能経済研究所の書籍「自然産業の世紀」はこちら。
 水産物を世界で一番多く輸入している国は日本です。いま、あなたがお店で手に取っている魚は、世界のどこかの海で違法な漁業によって獲られたものかもしれません。でも、乱獲されたものか、そうでないか、私たち消費者はそれを区別する術を持ちません。ぱっと見て、とくに変わったところがないなら、誰もが安い方を買おうとするでしょう。その結果、知らず知らずのうちに、乱獲に加担してしまう可能性もあるわけです。その問題を解決するのが、今回紹介するMSCエコラベルです。

 マグロ、ウナギ、タラバガニ。昨今、資源の枯渇がニュースとなっている魚介類たちです。スーパーに行けばたくさんの魚が顔を並べている状況の中で、いま水産物がどれだけ厳しい状況にあるのかを実感することは難しいかもしれません。しかし実のところ、世界の水産資源はもうすでに限界ぎりぎりの状態なのです。資源の存続に赤・黄信号がともっている魚種は、世界全体で3/4に達しています。

 なぜこんな危機的な状況になってしまっているのでしょう。環境変動という要因もありますが、やはり第一には、魚が自然に増えるのを上回る速度で人間が獲ってしまっていることが大きいといえます。でも石油などとは違い、命ある自然の恵みは上手に管理さえすれば将来に渡って持続的な利用が可能なものなのです。

 現在は世界の海のあちこちで国際的な漁業のルールが決められ、資源を守る努力がなされています。しかし一方で、魚を根こそぎ獲り、周囲の環境も破壊していくようなルール違反の漁業(IUU漁業)も存在します。そのような漁業は短期間に大量に魚を獲るので、きちんと資源を管理している漁業が獲る魚よりも一時的に安い値段になります。でも、結局はそのツケを「魚を未来永劫失う」という形で消費者自身が払わされることになります。

 こうした問題を解決するべく登場したのがMSCエコラベル。店頭で青い魚のラベル(MSCラベル)がついている魚介類を見た方もいらっしゃるかもしれません。これは、「適切に管理された持続可能な漁業」によって獲られたお魚であることを保証するラベルです。
 MSCとは、Marine Stewardship Councilの略です。日本語では「海洋管理協議会」という訳があてられていますが、‘Steward’という言葉には「世話をする」
「守りをする」という意味合いがあります。

 MSCは高まる水産資源の危機の中で設立された団体で、持続可能な漁業のための原則と基準と認証制度を作りました。審査は第三者の機関が行い、科学的、社会的に問題がないかどうか厳しく調べられます。MSCラベルは現在国際的に通用する唯一の水産認証です。
また、漁業だけではなく、流通・加工を取り扱う業者も認証をとるので、確実に消費者のもとに認証された漁業のお魚が届けられることが保証されます。

 消費者はMSCエコラベルのついている商品を「選ぶ」ことにより、「自然に配慮した漁業」を応援することができます。消費者が適切な水産資源管理に参加し、食卓から海を守っていく仕組み、それがMSCのエコラベルなのです。最新の研究結果からも、資源保護に水産エコラベル(消費者の力を利用すること)が有効であることが提言されています。

 「豊かな海を守ることに協力したい。けれど、消費者の立場では難しい……」。そうではありません。世界一たくさんの魚を輸入している日本の消費者は、世界の水産資源の動向に対して「需要」という大きな鍵を握っているといえます。子供たちの未来を考えるならば、それは責任といってもいいかもしれません。
 「魚を食べたくても食べられない未来」ではなく、「いつまでもおいしい魚が食べられる未来」を残すために。今、消費者一人一人が「海の守り人」となることが必要なのではないでしょうか。

(アミタ持続可能経済研究所/渡邉 薫)



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