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異次元に浮遊するかも。ファンタジックな“とんぼ玉”


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 となり町に住む礒野昭子さんがとんぼ玉作家であることは、噂で聞いて知っていた。とんぼ玉とは色とりどりの細長いガラス棒をバーナーの炎で溶かし、芯棒に巻き付けながら創ったガラス玉のこと。その歴史はたいそう古く、美しい色や文様が世界中の人々を魅了して交易にも用いられてきたという。
 
 「ぜひ一度、礒野さんのとんぼ玉を見てみたい」と思っていたところ、先日ようやく、その機会に恵まれた。で、びっくりした。私が知っているとんぼ玉とはまったく違う。なんて斬新なんだろう。作品名からして「蛙、海のカケラを抱く」、「菌糸の森のヤリイカさん」などなど、不思議すぎ。
 手のひらに乗せて、まじまじと見つめてみる。カエルのお腹の中をふわふわと漂うクラゲ。ヤリイカの体内にひょろりと寄生する冬虫夏草。うっとりした表情で卵を抱いているようなタコ……。

 クラッとしつつなおも見つめていると、頭の中が深い海の底状態。あるいは宇宙に飛んだ感じ? 心も頭もトロンと溶けて気持ち良くなっていく。「創作している時はすごく集中しているから、脳みそから快楽物質が出まくっていると思う」。ふふっと笑いながら礒野さんが言った。ガラスに混ざり込んだ彼女のドーパミンが伝わってきたのかも。

 「始めてとんぼ玉と出会ったのは、旅先のアフリカでのこと。ひと目でビビッときたし、古代のロマンにも惹かれました。自分で創るようになってからは、もう13年になるかな」と礒野さん。独創的な作風が注目を集めるようになり、東京で開く個展でも毎回行列ができる、というのも頷ける。
 これほどまでに繊細で美しい文様を、どうすれば小さなガラス玉の中で表現できるのか。作業工程を簡単に説明してもらったものの、いまだに私は理解できない。人間ワザとは思えないので、にわかに信じがたいのだ。

 こんなに才能のあるアーティストは世界中探しても滅多にいないと思うのに、となり町で出会ってしまった。

(和歌山在住ライター/北浦 雅子)



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