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感動の瞬間、セミの羽化を観察してみませんか


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 私が住む町の近くの公園には「セミの木」があります。その木は高さ20mほどのメタセコイアで、芝生の広場の中に立っています。「セミの木」では毎年夏になると、一斉に羽化するセミの姿を見ることができます。公園にはたくさんの木が植えてあり、メタセコイアの木も他に何本か植えられています。でもセミがお気に入りなのは芝生の広場のメタセコイアで、この公園には他に「セミの木」は見当たりません。

 「セミの木」で羽化するセミはアブラゼミです。ニイニイゼミが羽化する姿もわずかに見られますが、こちらは地上に近い幹で行います。アブラゼミはそれよりもさらに上へとよじ登り、横に広がる枝を先へと進みます。羽化に利用する枝は、その木の中でも低い位置にある枝です。ただし数本ある枝の中にもお気に入りというか、移動しやすい枝があるようで、そのような枝には羽化したばかりの透き通るように白いアブラゼミが、特にたくさんぶら下がっています。

 アブラゼミが一斉に羽化するのは、ちょうど梅雨明け頃の夏の日差しが照りつけた、気温も湿度も高い蒸し暑い日の夜です。日が沈みあたりが暗くなる頃、地上に這い出た幼虫は幹を登り、枝葉の先端で羽化に適当な場所を見つけると、しっかりとしがみつきます。
 しばらくじっとしていた幼虫の背中が割れると、中からつぶらな黒い目をしたセミの顔が現れます。そのままのけぞるように逆さまにぶら下がっていますが、やがて腹筋をするように起き上がり、抜け殻につかまり全身が抜け出ます。するとシワシワに縮んでいた羽が見る間に伸び始め、まもなく立派にセミの形になります。

 「セミの木」を探す方法は、羽化の痕跡であるセミの抜け殻を探すに限ります。たくさんの抜け殻がくっついている木は「セミの木」である可能性が高いわけです。セミの羽化は案外身近な場所でおこなわれています。今年の夏はこの感動的なシーンを観察してみてはいかがでしょうか。「セミの木」とまではいかなくても、羽化の瞬間ならばきっと見られるはずです。ただしやっと地上に出てきたばかりの幼虫がウロウロしていることがありますので、くれぐれも足元にはご注意を。

(カメラマン/松沢 陽士)



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