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海からアクセスしませんか? 『横須賀美術館』


●あいかわらず残暑が厳しいですね。こんなときは9月の計画でも立てて、秋の気分に浸りたい。ということで「るるぶ全国秋の味覚狩りスポット2007」で食べたいもの、行きたいところをチェック!
 横須賀市政100周年記念事業のひとつとして、作られた美術館である(4月28日オープン)。東京湾に面して建てられた本館はなかなかユニークな建物で、ガラス張りの2階建ての中に白い繭のような構造体が納められている。地下2階地上2階の建物のうち、地下1階と地上1階部分が展示室となっており、地上1階には、レストランや美術館グッズを売るショップもある。別館として、横須賀に縁のある谷内六郎氏の展示館が併設されている。

 屋上からは東京湾が一望できる。この屋上、正面からは2階の上ということになるのだが、裏から見ると背後の森と地続きになっている。つまり、美術館全体は半地下構造というべき建物なのである。この美術館だけを見に来ても価値はあると思う(屋上やレストランやショップへは、入場料はいらない)。こういう構造の、個人住宅もありだなと思わせる(とっても費用はかかりそうだし、ガラス掃除も大変そうであるが)。

 それで、今回ここを訪れたのは、7月28日から始まった「アルフレッド・ウォリス展」――海に生きた素朴画家――を見るためにである(9月17日まで)。友人の画家が強く薦めてくれたので、新しく出来た美術館とともに見てみようというわけなのである。

 最初に作者、アルフレッド・ウォリス(1855年〜1942年)を簡単に紹介しておく。彼が絵を描き始めたのは、なんと70歳を過ぎてからだという。とっても晩生(おくて)の画家なのである。それまでは、漁夫、船乗りであり、その後船具商を営んでいる。その船具店のある場所は、イギリス本島(グレートブリテン島)南西に突き出すコーンウェル半島先端付近にあるセント・アイヴスという港町である。
 ある日、セント・アイヴスを通りがかったベン・ニコルソンとクリストファー・ウッドという2人の画家が偶然に彼の絵を発見。それ以来、ウォリスの絵は世に知られるところとなった。今回の展覧会には、この2人の作品も展示されている。明らかにウォリスの影響を受けたと思われる絵には、ちょっと笑ってしまう(洗練という意味では、ウォリスよりずっと上であるが)。

 ウォリスの作風は、素朴そのもの。以前、「ヘタウマ」なんて言葉があったが(漫画家の渡辺和博氏が作り出した言葉)、まさにヘタウマ。アンリ・ルソーに代表される素朴画家というジャンルに入るらしい。そこに描かれた世界は、素朴ではあるが海に出るという適度な緊張感もあり、船乗りだった彼の経験が反映しているようである。
 さらに、絵はちゃんとしたキャンパスは使わずに、身近にあったと思われる板きれや厚紙に描かれている(くぎの痕や折り目もそのまま)。これがとってもいい味になっている。一部の作品ではわざと塗り残しをやり、下地の厚紙の色を使っていたりする。

 展示は約80点。ほとんどが、先に述べたように経験から描かれたもので、写生したものではない。だから、彼の頭の中に記憶された船や港が表現されていて、場合によっては地図的(海図的?)表現になり建物が横倒しになったりしている。でも、これで違和感ないところがおもしろい。
 異なる作品で同じ港の砂の色が変わっていたり(潮の干満で砂が濡れたり乾いたりするから)、同じ難破船のさび具合が異なっていたり(多分時間が経ってさびが進行した)とけっこう細かい観察もなされている。

 そして、その作品達は、思っていたよりずっと小さかった。つまり、カタログやポスターになっているものから、私が勝手にもっと大きな作品と想像していたことになる。それだけ、存在感のある作品ということになろうか。
 彼が生きたのは、ちょうど帆船から汽船に変わる頃で、絵にも両方が登場している。ある絵には、飛行船が描かれていたりもする。帆船、汽船、飛行船とどれもデザイン的にもすばらしく、Tシャツにプリントしてみるといいかも(私は欲しい)。

 最後になるが、この美術館には、海からアクセスできるという特徴もある。以前紹介した猿島への航路が延長され、美術館近くの桟橋まで来ているのである。帰路、船から近くの漁港を見ると、彼の絵のように見えるかもしれない。

(ライター/守屋 裕司)


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◇◆DATA◇◆
〒239-0813横須賀市鴨居4丁目1番地
Tel:046-845-1212
Fax:046-845-1215
HP:http://www.yokosuka-moa.jp/

開館時間:4〜5月、10〜3月 10:00〜18:00
       6〜9月 10:00〜19:00
       6〜9月の土曜日と4月29日〜5月5日 10:00〜20:00
休館日:毎月第1月曜日(祝日の場合は開館)、12月29日〜1月3日
観覧料(所蔵品展):一般300円 高校生・大学生・65才以上200円 
    ※企画展は、その都度定める
<交通>
●京浜急行「浦賀」駅から京急バス「観音崎」行き終点下車 徒歩3分
●京浜急行「馬堀海岸」駅またはJR横須賀線「横須賀」駅から京急バス「観音崎」行きまたは「観音崎自然博物館」行きで「観音崎京急ホテル」下車 徒歩1分
●クルマ利用の場合 横浜横須賀道路佐原ICより8km(約20分) 駐車場 8:00〜22:00

<猿島・観音崎航路>
運航時期:平成19年4月28日〜9月30日の土日、祝日
       7月21日〜9月2日の夏休み期間中は毎日
運航本数:毎日4本(但し潮位の関係での欠航もあり)

<航路の問い合わせ先>
株式会社トライアングル
TEL:046-825-7144 
HP:http://www.sarusima.com/

※横須賀集客促進実行委員会のホームページにも詳しく載っています。 http://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/cocoyoko/index.html



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