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日本一心豊かなローカル線 貴志川線
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JR和歌山駅の一番はしっこ、9番線ホームから発車する貴志川線。和歌山市と紀の川市貴志川町14.3キロを結ぶローカル鉄道だ。沿線住民の足として長年親しまれてきたが、自家用車の利用が進んで乗客は減少。あわや廃線、という事態に直面したものの、2005年の春には存続決定の嬉しいニュースが地域を駆けめぐった。存続を願う住民たちの運動が実を結んだのだ。
運営を引き継ぎ、貴志川線を再生させた和歌山電鐵が目指すのは“日本一心豊かなローカル線”。ほのぼのしたイベントやユニークな車両で注目を集め、遠方からも家族連れや鉄道ファンがやってくる。赤字経営から廃線の危機にある各地方の鉄道関係者も、期待を込めて見守っているという。
それでは車両を紹介しよう。まず、昨年の夏にデビューしたのが、貴志川線のシンボル車両として知られる“いちご電車”だ。白い車体に貴志川町特産の真っ赤ないちごがアクセント。電車の内部は、こんな感じ。
そして今年の夏は、“おもちゃ電車(通称おもでん)”も登場した。カラフルな車内にはショーケースがあり、ガンダムなど人気キャラクターのフィギュアが並ぶ。おもちゃを販売するガチャガチャや、座席の横にはベビーベッドまで。
車内には目を輝かせている子どもたち。可愛いベッドにちょこんと座った赤ちゃんもゴキゲンだ。子どもはもちろん夢中になるが、大人ゴコロも微妙にくすぐるので乗客はみんなにこにこ顔。都会の満員電車に比べたら、まるで極楽のような電車なのだ。
和歌山駅を出て約30分。終点の貴志駅に到着したら、噂の“たま駅長”が出迎えてくれた。駅の売店、小山商店さんの飼いネコが異例の出世をとげて全国的な話題となったので、東京から日帰りで見に来る人もいるらしい。
改札口で寝そべる駅長にカメラを向けると、取材慣れしているのかカメラ目線もばっちり。堂々とした態度は、やはりそんじょそこらのネコではなさそう。改札を通り抜ける地元の乗客たちも「おや、駅長さん」と親しげに声をかけてゆく。時間は午後5時、そろそろ駅長の勤務時間も終わりだ。のどかな夕暮れの景色を味わいながら、またゴトゴトと電車に揺られて帰ろう。
(和歌山在住ライター/北浦 雅子)
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