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休耕田が黄金色の稲穂で埋め尽くされるまで
その半年間の記録
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日本全国の農村は、生産者の高齢化に加え、宅地化などが進み、農地や農業用水といった資源を守る団結力が弱まってきている。そうした危機感から農林水産省は、地域ぐるみで効果の高い共同活動と、農業者の先進的な営農活動を支援する「農地・水・環境保全向上対策」を、平成19年度からスタートさせた。そのモデル地区に選ばれた静岡県三島市の、ある地域における半年間にわたる奮闘記をご報告しよう。
三島市の中でも北部地域は、かつては住民の多くが農業に従事していた。しかし今では周辺に新興住宅街が増え、さらに若い世代の農業離れにより、いたる所に休耕田が広がり、その多くは雑草に覆われている。今回の支援策は、単に農家だけが環境整備に関わるのではなく、地域の非農家も参加しなければならない。ということで、同じ小学校の学区内にある新興住宅街の住民、小学生、教師から有志が参加。水田を復活させることにしたのだ。選ばれた休耕田はいびつな形で、約25×20mほどの広さ。
しかし、雑草だらけの土地を水田として復活させるのは、想像以上の重労働だった。まずは草を刈り、同時に埋もれた水路を掘り起こす。さらに積もった枯れ草には火をつけ、草がほとんどなくなったところで、ようやく耕すことができたわけだ。それから水を引き入れ、一週間後に人力で代かきを行う。
長年放置され、手入れされていないことが原因で、土が軟らかすぎて機械が導入できなかったのも、必要以上に重労働となった要因。5月中旬から作業を開始して、何はともあれ6月2日には水田としての体裁が整ったのである。
翌3日は晴天に恵まれ、昔ながらの手作業による田植えが行われた。新興住宅街に住む子どもたちの家は、ほぼ100%非農家である。当然、手植えだろうが機械植えだろうが、田植えなどみんな初めての経験。農家のお年寄り達の指導で、横一列になって苗を植えていく。よく高学年が行う体験授業ではないので、低学年も参加。1時間ちょっとで無事に植え終わった。
機械植え用の苗を手でむしって植えたため、中には水没寸前の心もとない苗もあり、これで無事に育つのか不安の声も。ただ参加した子どもたちは、みな泥だらけになった後、水路で体を洗い大はしゃぎであった。
雑草だらけだった休耕田を復活させたワケだが、除草剤や殺虫剤など、農薬は一切使用しなかった。さらに肥料も投入しないという、まさに完全有機栽培。雑草や虫の発生などが気にはなったが、3週間後には、どの苗も力強く生長。さらに7月の末になると、早くも稲穂は頭を垂れてきた。
そして9月のなかばには、黄金色に染まる。植えたのが早生のもち米だったため、9月末には実も十分に太り、いつでも収穫OKという感じだ。古くからお米を作っている農家の方は、雑草だらけだった田んぼが無農薬でも問題なく実るということに、驚きの声を上げていたほどである。
そして10月7日には、田植えのときと同様に、子どもたちや保護者、小学校の先生たちが集まり、鎌による稲刈りを実施。刈った稲は藁を使って束にして天日干し。子どもたちは落ち穂拾いにも、新鮮な感動を覚えていたようだ。形はいびつでも、ズラリと並んだ稲の束は圧巻! 参加者はみな収穫高を気にしつつ、帰路についたのであった。
それから1週間、天日で乾燥させた後に脱穀を行う。この作業だけは、さすがに機械を投入。それでも子どもたちは大はりきりであった。学校で習ってはいたが、実際に米ができるまでの手間の多さを体験して、かなり学ぶものがあったようだ。で、気になる収穫高は玄米の状態で227.5kg。豊作といってよい収量もさることながら、子どもたちが米作りの実態に触れることができた、有意義な試みであったことは間違いない。また「農地や農業用水といった資源を守る」という、農水省が掲げた当初の目的も、果たせたと思う。あとは収穫したもち米を使い、もちつき大会をやるのが楽しみだ!
(元PTA会長ライター/野田 伊豆守)
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