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いのちの営みと共に。
「たかしま生きもの田んぼ」、収穫の秋


●BE-PALで連載された『庭の子』や単行本『武市の夢の庭』でおなじみ、高橋武市氏の講演会が行われます。深い雪に閉ざされる北海道紋別郡で夢の花園を作り続ける高橋さんが庭作りへの熱い気持ちを語ってくれます。詳しくはこちら。

●来る11月11日(日曜)、大阪万博記念公園で催される「エコフェスタ in Expo Park」にて、「たかしま生きもの田んぼ」の参加農家がブースを設置し、たかしま生きもの田んぼ米の試食や即売、お餅つきなどのイベントが行われます。農家と生きものたちの物語を紹介するパネル展示も必見、この機会にぜひ、足を運んでみてください!
 「グオ〜ン」という勇ましいエンジン音と共に現れたコンバインが田んぼに突入し、稲刈り作業を始めた。琵琶湖の北西部、高島市(滋賀県)の田園で様々な生きものたちを育んできた「たかしま生きもの田んぼ」が、いよいよ秋の収穫を迎えたのだ。

 稲の茂みで安穏と暮らしていたバッタやカエルたちにとっては一大事だ。隠れ処を突然刈り払われ、逃げも隠れもできなくなってしまった。やがて、上空に真っ白なサギの群れが現れてコンバインの周りで旋回を始めた。「ただの白サギ」ではない。環境省がレッドデータブックで「準絶滅危惧」に指定している希少種、チュウサギだ。
 次々に集まってきたチュウサギたちは、刈り取られた直後の田んぼに舞い降りると一斉に狩りを始めた。大きなナゴヤダルマガエル(絶滅危惧IB類!)をくわえ、無我夢中になって飲み込もうとしている姿に野性の迫力が感じられる。それもそのはず、夏鳥のチュウサギにとって、遠い南国へ渡る旅を目前にした今の時期、田んぼの収穫時に餌をたっぷり食べて体力をつけられるかどうかが、生死の分かれ目にもなるのだ。

 チュウサギは体の割に嘴がやや短く、湿地のような浅い水辺(つまり田んぼ)で動きの鈍い生きものを捕らえるのに適した鳥だ。かつて、日本の白サギ類の中でもっとも生息数の多い種だったが、主食にしていた水田のカエルやドジョウが農薬使用や圃場整備などで姿を消すとともに激減してしまった。じつは、このチュウサギに近い食性の鳥の代表種が、絶滅したトキとコウノトリであった。つまり、いま野生復帰計画が進んでいるトキやコウノトリにとって暮らしやすい環境の指標となるのが、「チュウサギが群れなしている姿」ということにもなる。

 この夏、「たかしま生きもの田んぼ」プロジェクトの参加農家たちは、それぞれが取り組む無農薬・無化学肥料の田んぼを見学しながら「合同生きもの調査」を行った。その際に行われたのが、「よく似た生きもの同士の見分け方」のトレーニングだ。国内屈指の「田んぼの生物多様性の豊かさ」を誇る高島市だからこそ、農家がそのアピールポイントとなる生物種の識別方法を適確に把握している必要がある。

 「ダイサギは大きいから見分けやすいけど、コサギとチュウサギはあまり体格差がないんです。確実な見分け方は、足先が黄色いのはコサギ、指先まで真っ黒なのがチュウサギです。飛び立ったときが見分けやすいですね。じゃあ、あれは?」
 「んん? あ、黄色い靴下はいておる、コサギやな」、「あ、あっちはチュウサギや!」と、微妙な識別ポイントがたちまち習得されていく。
 「ダルマガエルはずいぶん貴重なカエルらしいけど、トノサマガエルと見分けがつかんな。うちの田んぼにいるのはどっちなんやろ?」
 「う〜ん、それは、両方を捕まえて違いを見比べるのが一番ですねぇ」
 「あ、模様が違うけど、顔つきも違うな。トノサマガエルのほうが、顔が長くてカッパみたいな顔つきや」

 もともと自然への観察力に長けている農家だけに、生きものの識別力のスキルアップ速度は相当なものだ。さらに、他の農家が取り組む様々な生物多様性の保全策もお互いに視察し、その効果を検証した。休耕田の中に溝を掘ってビオトープ状に改修した「みずすまし水田」では、絶滅が危惧されるシマドジョウの一種やカスミサンショウウオが繁殖をしている。水路から魚が遡る魚道の仕組みや管理の方法を学びつつ、「来年はうちの田んぼでもやってみようかの」と、新たな挑戦意欲を見出す農家が現れたのは嬉しいことだ。

 このように田んぼの生きものたちへの配慮を重ねているものの、栽培中には大きな試練を課さざるを得ない時期がある。それが「中干し」だ。
 梅雨明け前後の頃、稲の根株を空気にさらして勢いづけるなどの目的で、10日間ほど田んぼの水を落として土を乾かすのだ。これが変態前のオタマジャクシやヤゴにとっては致命的な影響になる。一般的には6月後半までに始まる行程だが、「たかしま生きもの田んぼ」では7月上旬まで中干し実施を延期し、カエルやトンボに成長するのを待っている。
 さらに、中干しの実施中も水中の生きものが逃げ込めるように避難用の溝を造成した農家もいる。ここではガムシやクロゲンゴロウなどの大型水生昆虫が豊かに育っている姿が確認された。農薬・化学肥料の削減とともに、こうした様々な生物多様性の保全策を実践し、なおかつ高品質のお米を生産していくのが「たかしま生きもの田んぼ」の特色だ。

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 「チュウサギにとっては豊作やなぁ。でも、ご覧の通り、ここの田んぼはコナギとヒエにすっかりやられてもうた」
 跡継ぎ息子たちに任せた無農薬・無化学肥料の田んぼの刈り取り作業を眺めながら、父親が苦笑いしながら語った。前回のレポートで紹介した通り、「たかしま生きもの田んぼ」の農家は、無農薬・無化学肥料で、なおかつ「美味しい米作り」を実現するため、新しい栽培技術を導入している。収穫量を減らしてしまう雑草を、除草剤を用いずに抑えるには、田植え前の二回の代掻きのタイミングの見極めや、田植え後の水位調整の管理などを適確に行わなければならない。その栽培技術に初めて挑んだ二代目が得たものが、雑草にまみれた減収の田んぼと、「チュウサギたちからの祝福」だった。

 農家の汗と笑顔と、生きものたちの歌声がたっぷり詰まった「たかしま生きもの田んぼ米」。今年の出来具合を、どうぞ味わってみてください!

(ライター&雑魚党政釣会長/多田 実)


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◇◆「たかしま生きもの田んぼ米 購入方法」DATA◇◆
≪FAXでのご注文≫
●たかしま生きもの田んぼ米 FAXご注文用紙に必要事項をご記入の上、高島市農業振興課内「たかしま生きもの田んぼ米」係(FAX:0740-25-8519)までお申し込み下さい。
⇒FAXご注文用紙

≪こだわり農家のお米販売サイト 「おこめナビ」 からのご注文≫
●おこめナビの購買者向けページから 【お米を選んでみる】のボタンをクリックし、産地検索で【滋賀県】を選んでください。
⇒購入者向けページ
●登録された滋賀県内の農家の一覧が出てきます。 その中で 「たかしま生きもの田んぼ米」 のブランド名を掲げているのがプロジェクトに参加している農家です。 各農家のこだわり内容も必見です。
●購入を希望される方は各農家の販売案内ページから商品を選び、 送り先の記入などをして発注すれば代金引換でお手元に届くシステムになっています。

≪11月11日(日)、大阪万博記念公園で開催の「エコフェスタ in Expo Park」で試食即売会≫
「たかしま生きもの田んぼ」の参加農家がブースを開き、試食即売会やお餅つき、栽培の様子のパネル展示などを行います。ぜひこの機会にお越しください。


◇◆たかしま生きもの田んぼ お問い合わせ◆◇
高島市 産業循環政策部 農業振興課(直通) TEL/0740−25−8511
アミタ持続可能経済研究所  TEL/075−255−4526



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