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ケツメイシの『はぶ茶』でおかいさん


●大分県豊後高田市の「若宮八幡裸祭り」が11/23(金)から始まります。打ち鳴らされる太鼓のリズム、夜空にそびえる大たいまつ。寒さをものともしない若者たちの、御神輿の川渡しなど、壮大なお祭りです。
 日のあたる軒先で近所のおばあちゃんが何やらごそごそやっていた。手元をみてみると「ああ、やっぱり。うちと同じだ」
 おばあちゃんが手にしていたのはエビスグサ。エビスグサというよりは、はぶ茶の原料と言ったほうがわかりやすいかも知れない。きっと畑で育っていたものをごそっと引き抜いてきたところなのだろう。

 エビスグサはマメ科の植物で、夏には10ミリくらいの黄色い小さな花が咲く。10月頃には葉っぱが緑から黄色っぽくなり、細長いさやの中に行儀よく並んだ種子も茶褐色になってくる。この種子を軽く炒るとはぶ茶になるのだ。
 植えた覚えはないのだが、どうやら4月頃にこぼれた種子から芽が出たらしく、気がつくとうちの畑でもところどころエビスグサが勝手に育っていた。こんなふうに栽培しやすく、親しみやすいのがはぶ茶の特長だ。たくさんではないけれど、今年は自分のうちの畑で採れた種子(いつもは他所からもらう)で、作ることにしよう。

 作り方は簡単だ。収穫が遅すぎると地面に種子がこぼれ落ちてしまうので、その前に草ごと全部引き抜いて天日でよく乾燥させる (乾かし方が不十分だとあとでカビが生えるので注意)。こうするとパンパンとたたくだけで種子は簡単に集められる。
 集めた種子はフライパンで軽く炒る
 ああ、いい匂い、いい匂い。香ばしさが台所いっぱいに広がる。できたものはビンに入れて保存。これを1リットルのお湯に20グラムくらい入れて10分ほど煮出せば、おいしいはぶ茶のできあがり。
 
 私のうちでは、はぶ茶は日々の飲み物としても、茶粥を炊くときにも使っている。「おかいさん」と呼ばれて親しまれている紀州の茶粥は、ほうじ茶や番茶など、それぞれの家で好みのお茶を使うのだが、うちでは断然このはぶ茶。くせがなくて苦味もないので子どもにも食べやすい。
 この種子、漢方の生薬名はケツメイシ(決明子)で、便秘、消化不良、胃腸病、腎臓病、のほか眼病にも効くと言われている。お年寄りたちが「はぶ茶は体にええんや」と言って好んで飲んでいるのもよくわかる。
 香ばしいお茶においしいお煎餅かお饅頭でも添えて、ちょっと一服。さあ、いただきましょうか。

(エッセイスト/松上 京子)



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