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千年の時を生きたクロベに抱かれてきた
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「金名水」「銀名水」「銅名水」などの、おいしい湧水がたんと湧き出る宮城・岩手・秋田の3県にまたがる栗駒山。日本では珍しくなってしまった手つかずの原生林がたくさん残る山だ。
休火山の栗駒山には温泉もたくさん沸いている。馬のひずめの跡から湧き出したと言われる駒の湯でいやされたあと、エミシ文化が知りたくて「くりこま荘」へ立ち寄った。そしたら主の菅原さんが「これからクロベに会いに行くけど?」って!
クロベって、何だベ?
栗駒山の原生林の一部に古ノ森(いにしえのもり)と呼ばれる森がある。世界谷地と湯浜温泉(ゆばまおんせん)を結ぶ古道の途中に位置するブナの森だ。その森にとんでもないクロベがいるんだと。
クロベは黒檜のことで、ここらではクロベとかクロビ、ネズコなどと呼ばれている。栗原市ホームページによると、黒檜は氷河期の生き残りと言われる日本の固有種で、人差し指の太さくらい成長するのに、つまり1cmくらい伸びるのに20年はかかる木だそうだ。古ノ森のとんでもないクロベは幹周り9.5mもあるもんだから、樹齢1000年、一説には1500年とかで近年「千年クロベ」と名がついた。そのクロベを見に行くとあっては、便乗するっきゃない。
雨が降っていたので、世界谷地側からは沢が越えられないということで、湯浜温泉近くの温湯温泉(ぬるゆおんせん)側からアプローチ。迫川上流の超ダート道をひたすら登ると、小さな看板があった。そこから藪こぎ。すぐにどっかと千年クロベが待っていた。圧巻!
ひっそりとたたずむ巨木に言葉がでない。空洞化した幹には雷が落ちた跡の黒こげが残る。幹の中でちょっと雨宿りさせてもらったら、ほっこり温かだった。悠久の時を越えてきた巨木の懐に抱かれた瞬間、もっともっと青い地球が存続してほしい、と願わずにいられなかった。そんなワケで、エミシの話は聞きそびれちゃったけど、まっいいか。
(飛び出せ農耕民族/iguchi chuck yoshiko)
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