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スズメもカラスも楽しんだ? かかしワールド
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刈り入れが終わった田んぼで藁小積みや案山子を見世物にするイベントが各地で流行っている。そんな折り、日田市と隣接する中津市山国町の「案山子祭りは一風変わっていて面白い」と聞いて早速行ってみた。
朝霜が冬の風情を醸す寒い朝だった。日田市内から市境の大石峠まで車で10数分、峠のトンネルを抜けると山国町だ。名前のとおり山間の長閑な山村の峠をしばらく下った集落の入り口に見慣れぬ青や赤のノボリが目に入った。
「かかしワールド」の文字がはためく三叉路で脇道の旧道に入ると両脇に広がる田んぼが何やら賑やかな様子。藁小積みに梯子をかけている農夫は藁人形。よく見ると旧道脇の小さな田んぼのあちらこちらに人形の人影?が……。案山子と言うよりも「藁人形祭り」だ。
「か〜ごめ・かごめ」と遊ぶ童の傍でスッテンコロリと「転んだ童」、「えーん、えーん」と泣き声までが聞こえてきそうだ。
「竹馬で遊ぶ兄弟」、「手押し車を小脇に休憩する老女」、「リヤカーを押す親子」と昔懐かしい、といってもついこの間の昭和の良き時代風景を再現しているのだ。「心配いりません、めったに当たりません」と立て札に書かれている「猟師」の矢先に「猪や鹿」が、背に降りた霜がいっそう現実味を帯びさせる。
「のぞきはだめ!」の立て札の先には「入浴する女性」がいて? 思わず苦笑する。「戦時中の防空頭巾をかぶった親子」には「ぜいたくは敵だ」の立て札。
「フーテンの寅さん」や「犬に追われる漫画のキャラクター」の案山子もあった。草やぶの向うに「背を向けている藁人形」に「何んだ?」と一段下の川岸に降りてみると「そっと寄り添う男女の学生」の姿、ほのぼのとした風情だ。
川岸で「洗濯している女性」や「ドジョウすくいをする老人」には、思わず「おはようございます」と声をかけたいくらいリアルだ。
この「かかしワールド」と銘打たれたイベントを企画したのは、この石原地区に住む主婦グループ「あざみ会」(池田紀子会長以下13名)。ちょうどアマチュアカメラマン氏にモデルを依頼され「居間で晩酌をする老夫婦」の案山子に寄り添ってにこやかな笑顔で酒をつぐ仕草をしていた同会メンバーの水谷和子さん(60歳)に話を聞いたところ、「5年前、刈り入れ後の田んぼが寂しいから……」と会メンバーが所有する2枚ほどの田んぼを使って始めたのがきっかけだと言う。
今では地区一帯の田んぼの持ち主が協力してくれ、友人知人が古い農機具や古着を持ち込んできては「こんなのどう?」と知恵も貸してくれるようになったという。記帳所で記帳していた観光客が「これは本物ソックリ」とカメラを向けられ振り返ったら「ありゃー、これは本物だった」と苦笑いのカメラマン氏に双方大笑いというエピソード。
地元では「田んぼで迂闊に立ち止まっていたら写真を撮られるゾ」といった噂が飛び交うほどの大人気に少々戸惑い気味だとか。この意外な人気にあざみ会では「来年も知恵を振り絞って面白い案山子を作ろう」と張り切っているというから楽しみだ。
小一時間をかけて十数枚の田んぼにある50数点の案山子を見て回り、帰ろうと車に乗り込むと、朝日に照らされ体中から湯気を立ち昇らせて「拝観料を置いて行かんか!」とでも怒鳴っていそうな「みかじめおやじ」の視線にあたふたと山国町を後にした次第である。
(大分県日田市在住・昆虫ライター/佐々木 茂美)
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