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黄金色の神秘。熊野古道の大銀杏
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今年の紅葉は例年より少し遅め。そんな話を聞いたので「まだ間に合うかも」と熊野を目指した。南紀田辺インターで高速をおりて国道を本宮方面へ。しばらく走ると中辺路(なかへち)という集落があり、だんだんと山間部に入っていく。あたりの紅葉も色とりどりで見応えがあるが、私が見たいのは“福定(ふくさだ)の大銀杏”。
カーブを曲がると左手の山の中腹に、そいつはぼわんっと現れた。「うわ」と思わず声が出る。山の中にもうひとつ小さな山があるみたいだ。路肩に車をとめて見とれること、しばし。
巨木を間近で見ようと細い山道に車で入っていくと、大銀杏が目の前に迫ってきた。さすがに圧倒的な存在感だ。樹齢400年と推定されるそうで、幹の周囲が5.3mで高さ22m。横に人が立つと、大きさがよくわかる。
「散ってしまうまで、夜間のライトアップもあるで」と地元の人が教えてくれたので、しばらく周辺を散策しながら待つことにした。そばには熊野古道もあるはずだ。イノシシに会わないかと心配しながら鬱蒼とした古道をゆくと、すぐ牛馬童子にたどり着いた。高さ50cmほどの小さな石像で、牛と馬を並べて双方の背にまたがっている。ちょっとあり得ない恰好だけど、可愛らしい。
日没まではまだ少し時間があったので、松上京子さんがエアービーパルで書いていた“絶品モンブラン”のあるケーキ屋さんを探すことに。わりと近くで簡単に見つかったし、ショーケースの中には目当てのモンブランも! 自然な栗の甘さを感激しながら味わっていると、ようやく日が暮れてきた。
国道に戻ってカーブを曲がると、こがね色に発光して闇に浮かびあがる大銀杏が見えた。まるでもののけの世界だ。余計な明かりが一切ない山の中だから、その姿もひときわ際立っている。ライトアップされた大銀杏も神秘的だけれど、次々に光りを放ち出す星の美しさにもやられてしまった。満天の星空と大銀杏。飛行機に乗ってでも見にきてほしいと思うのですが、来年あたりいかがでしょう。
(紀伊半島のライター/北浦 雅子)
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