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ねずみ年の虫採り始めは野ネズミの巣穴から
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九州の極寒冷地と言われる津江地方に住んでいるのに、元日以来雪も降らない異常気象。熊本県阿蘇市との境界にある標高800mの尾の岳麓部にあるモータースポーツのメッカ「オートポリスサーキット場」でも暖冬のためか冬場も爆音が鳴り響く異常な光景です。
そんな1月9日の朝、オートポリス脇の陽だまりに早くもフキノトウが顔を覗かせていました。さっそく「春一番」を収穫。帰宅してみると、今度は我が家の前の国道沿いにある防火水槽からキュルキュルというヤマアカガエルの鳴き声が聞こえてきました。そっと近づいてカメラのシャッターを切ると、パチャッと水音とともに水中にかくれてしまいましたが、ピンボケながら声の主を確認する写真が撮れていました。
そんな暖冬とはいえ冬季は虫の姿が見えず虫屋にとっては淋しい季節。例年は崖掘り、落ち葉篩い、樹皮剥がしで越冬虫を探していましたが、今年の「虫採り始め」はネズミ年にちなみ野ネズミの巣に住むコガネムシの仲間の採集に精を出しています。
数年前、冬の山道を車で通行中、崖に向かってピンセット片手に真剣に何やらしている男を見つけました。不審に思って声をかけたら、虫仲間の羽田くんでした。彼は、この「山道の崖に見られるネズミ穴の入り口に犬の糞を置いておき、臭いに釣られて穴の奥から出てきて犬糞を食っているところを採る」という方法で全国を採集行脚し新種を数多く発見したツワモノです。今年はその彼に習って採集を試みたという訳です。
このネズミ穴は元々ヒミズというモグラの仲間が掘った穴で、穴を掘ることができない野ネズミがちゃっかりと巣として利用しているのです。ネズミの仲間は見かけによらず綺麗好きで、住居部分とトイレ部分はかなり離れたところに設置しているといいます。そのトイレの排泄物の掃除をしているのがMozartiusという体長4mm前後のマグソコガネの仲間なのです。それで、私のネズミ年昆虫採集第1号はこのキュウシュウマルマグソコガネでした。
それにしても、大男が犬の糞を持ち歩き、道沿いの崖の小穴を探す光景は異様極まりないものですが、こんな採集方法もあるのですよ。新年早々臭い話でした。
(大分県日田市在住・昆虫ライター/佐々木 茂美)
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