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冬の夜、ダイバーたちのアイドルに会いに行く


●2月3日は節分です。当日東京の上野動物園で、動物たちと一緒に楽しめる節分ベントが開催されます。プレーリードッグ、ニホンザル、エミュー、果てはアジアゾウまで、動物たちは用意された豆を前に、どんな行動をとるのでしょうか!?
 冬は寒くてフィールドに出るのが億劫だ。それに生き物も活発には動いていない。この季節はヒッキーになるオレだが、ここだけは欠かさず出かけるという場所がある。そこは真冬の夜の磯。そこに気になるやつがいるのだ。毎年この時期には必ず出かけているが、今まで5年くらい通って、まだ2度しか出会えていない。それも他人が捕まえたやつ。より詳しく知るために、やはり自分の手で捕まえたい、そう思い続けてきた。そして、またこの季節が巡ってきたのだ。

 それは、冬の磯で産卵をする魚で、深い所から潮間帯の磯に上がってくるのだ。冬の磯は昼間より夜の方が潮は引く。そのためこの魚を探すには冬の夜の磯になるわけだ。潮が引いた方が探せる範囲が広くなるからね。
 そいつは全長わずか3cm弱。ほぼまん丸で、泳ぐ姿はまず見られず、石の様に岩や海藻に止まっている、というか、張り付いている。擬態をするので体色もいろんなタイプが見られ、中でも赤や緑色は特に可愛い。これが冬のダイバー達のアイドル、「ダンゴウオ」である。名前はアイドルっぽくないけどね。

 厚着をしてバカ長(ウエーダー)を履き片手に網を持ち、もう一方の手には懐中電灯を持つ。はたから見たら密漁者か? 捜査隊か? そう思われてもしょうがない格好だ。2年前位までは、箱めがねで覗きながら探していたのだが、去年人が捕まえた物を見た時、それじゃ無理だとわかった。ダンゴウオは擬態しているからだ。箱めがねで覗いて、目視で見極めるのはまず無理。

 そんなわけで夜の磯ガサガサが始まった。夜の磯はとても神秘的で、光に照らされる物しか見えない。こんな環境では、いくら慣れていてもドキドキするものだ。ふだんタコが出てきても何とも思わないのにこんな時に出てくると思わず、「うわっ!」と声がでる。
 
 ダンゴウオは、たいてい海藻にくっついているので、海藻を中心にさぐる。図鑑などでは、さんざんこの魚の写真を見てはいるのに、さっぱりみつからない。
 1時間が過ぎた。疲れてきてだんだん雑になる。寒さも感じオレはなんでこんな所でこんなことしてんだとぼやきも入る。生き物を捕まえる技は、誰よりも優れていると自負するオレなのに……。
 「ほんとにいるのかよっ!」
 誰もいない磯で叫ぶ。

 そうしてダラダラと時間は過ぎ、網を底に付け歩きながらいい加減に探っていたら
 「うん? うん? え〜〜〜〜っ……は・は・入ってる! やった!」
 ついに念願のダンゴウオを捕まえた!
 「採ったどォー!」大きな声で叫んだ。

 少し落ちついた所で観察用アクリルケース「観察くん」で、ゆっくりとやつを見た。ケースの中でビックリしたのか、小さなヒレを使って一生懸命泳いでいる。シッポを曲げて泳ぐ姿はフグのようにも見える。このダンゴウオ吸盤がもの凄く大きい。吸盤を持つ魚はいろいろ見ているが、なかでもこいつはすごい。身体の半分くらいが吸盤なのだ。一通り観察して落ち着きを戻し、もう少しがんばることにした。

 その後も捕まえたときと同じように底をならすように歩きながら探ると20分に1匹くらいの割合でダンゴを捕獲(名付けてローラー作戦)。帰るまでに5匹捕まえる事ができた。大きさは1.5cmくらいの物が2匹。あとは3cmくらいだ。大きい物はみな卵を持っているらしくお腹がパンパンで、小さいのはオスなんだろうか? お腹はふくらんでいなかった。
 撮影をすませ、オス・メスと思われる物を一匹ずつ持ち帰る事にしてあとは逃して帰宅することにした。(げっ! もう朝の2時だよ)

(ライター/奥山 英治)



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