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見ているだけで“しばれる〜”お祭り
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おや、真夏の行水の写真? いえいえ、観衆の服装をよく見てください。1月15日、真冬の屋外で行なわれた「寒中みそぎ祭り」のひとコマです。北海道の函館市街地から車で約1時間、木古内(きこない)町の佐女川神社で寒中みそぎが初めて行なわれたのは1831年のこと。神社守が夢枕で「御神体を潔めよ」とのお告げを受けたのが始まりだそうです。その後、毎年行なわれてきたこの行事も今年で178回目。見るだけでもご利益があると伝えられる「行修者」の禊ぎ姿を一目見ようと、今年も多くの見物人が集まりました。
禊ぎが行われる「みそぎ浜」には既に大勢の観衆が集まり、4人の行修者の到着を寒さに震えながら待っていました。海の上では大漁旗をはためかせた漁船が禊ぎの行われる海を清めるために航行し、禊ぎのための舞台は着々と作り上げられていきます。この日の浜辺の気温は−5℃。ここ数年は暖冬が続いていたという道南地方ですが、今年は20年ぶりの寒い冬と話す人もいるくらいの厳しいシーズンを迎えており、冷たい風の吹くこの日はいっそう寒さの厳しい日となりました。
フードを被り風に背を向けてどうにか寒さをこらえていると、参道の先に色とりどりの幟旗がはためくのが見えてきました。いよいよ行修者の到着です。周囲の人と比べると明らかに軽装の4人の行修者は、既に丸二日間昼夜を問わず真水で体を清める行を済ませているそうで、手にはそれぞれ別当・稲荷・山の神・弁財天の4体の御神体を抱えています。
参列者を鳥居の前に残し、まっすぐに海へと向かった4人の行修者たち。波打ち際で立ち止まったかと思うと、次の瞬間には御神体を抱えたまま何の迷いもなく厳寒の津軽海峡に飛び込み、沖合いまで一度、二度と行き来しながらこの一年の豊漁と豊作を祈願しました。
海から上がった一行は、続いて鳥居の前に設けられた祭壇へと移動。3人の行修者が肩を組んでしゃがみ込むと、残る一人が桶を手に取って真水を汲み、水ごりが始まりました。1回、2回、3回と何回続いたでしょうか、水を浴びせる手が止まったかと思うと続いて一人づつ水ごりを行ない、最後には桶を持っていた行修者自らが頭から水をかぶる荒行を披露。その迫力ある姿は感動的でもあり、日光を受けて輝く水しぶきのせいで、まるで行修者が光の衣をまとっているようにも見えました。
話によれば、この水しぶき一滴一滴にはご利益があり、水滴を浴びた人には無病息災・交通安全のご利益があるとのこと。程なく行修者は手桶に水を汲むと四方の観衆に向かって水を放ち、観衆は誰一人避けることなくその身に水しぶきを受けていました。私もカメラの無事を祈りつつも甘んじてその水を受けましたが、手の甲に受けた飛沫が風に吹かれ、これがまた冷たいのなんの。まるで氷でも押し当てられたかのような痛みにも似た感覚が走り、体感温度が一気に2〜3℃下がったように感じました。この感覚を全身で受けていたわけですから、4人の行修者の強さにはただ感心するばかりです。
行修者が神社に戻ると、観衆も同時開催された「寒中みそぎフェスティバル」の会場へと移動。会場では大鍋による炊き出しも行なわれ、海の幸のたっぷり入った「みそぎ鍋」や地元の和牛肉が入った「こうこう汁」などで冷え切った体を温めていました。北国で出会った伝統行事は寒さと温かさを体験できた思い出深い行事でした。
(ライター・エッセイスト/藤島 斉)
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