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ヒッチハイクのチャリンコライダーが行く
「タダ美味」の旅・1「おおたけカキ」の巻(後編)


●好評の新連載『海辺の家族』最新話、アップいたしました。こちらもどうぞお読みください。
 杏仁豆腐のようにしっとりしていて弾力のある牡蠣の白身には、ミネラルをたっぷり含んだ潮の香りと甘みが詰まっていた。この、手の平サイズの広島産焼き牡蠣のお値段は……。ハウマッチ? トゥーマッチ? いやいや、ベリーマッチな0円なのです! さらに、1月〜2月の間なら誰でもただで食べられるそうなのですが……。

 僕は現場の広島県大竹市を目指し、自宅のある東京からヒッチハイクを始めた。ただで食べるなら「移動もただで」という発想だ。
 ヒッチハイクは順調で、初日に大阪、2日目には広島県内に到達。3日目は持参した折りたたみ自転車で広島県を横断し、山口との県境に位置する大竹市へ到着。翌朝、市内で開催されるお祭りの会場へ向かった。

 この日行なわれた『おおたけカキ水産まつり』は、地場産業である牡蠣をPRするために毎年行なわれているイベントで、市内で水揚げされた牡蠣を無料で振舞うのだという。
 開始30分前に会場へ行くと既に長蛇の列ができていた。先頭にいた広島市の夫婦は「毎年並んで待たされていたから、今年は1時間前に来ちゃいました」とちょっぴり誇らしげ。行列からの熱い(痛い?)視線を感じ主催者側は、予定の30分前に配布を開始。準備した3000人分は2時間で無くなった。
 この日、人口3万人の同市のイベントに県内外から3万人が来客。隣接する山口県の岩国市から来た米軍兵の姿も多く見かけた。

 大竹市が面する海域には6本の河川が流れ込むため海水中の栄養が豊富で、牡蠣の餌となるプランクトンが繁殖しやすく、粒が大きく栄養価の高い牡蠣が育つ。地上から海面が透き通って見えるほど透明度の高い海水は、生食用の牡蠣にも滅菌処理をする必要のない「洗浄海域」に指定されているため、鮮度も高く保たれる。
 この、最高品質の牡蠣の味をもっとも楽しむには「旨味がしみ出る焼き牡蠣が一番。味付けは海水(のみ)に限る」と、焼き場にいた地元の漁師が教えてくれた。さらに、粒が小さいものは焼き牡蠣には不向きなため、「ここにあるのは大きい牡蠣しかない」のだとか。

 バチンバチンと殻が焼ける音のする焼き場で無料の焼き牡蠣を受け取り、殻の中で沸々と煮える汁と一緒に身をほおばると、磯の香りの詰まった塩味がふわーっと口の中に広がった。陸送された後に調理する飲食店ではこの鮮度を保つことはできないだろうし、瀬戸内海の水に勝る調味料はこの世に存在しないだろう。工場で大量生産された家庭用の食塩など、この焼き牡蠣を目の前にしたら出る幕がないのだ。また、青空の下で焼き、芝生の上で食べるというシチュエーションも牡蠣の旨みを引き立てる。ただで食べられる“おいしさ”は、この祭りに足を運ばないと味わえないのである。僕は肉厚な貝柱を噛みしめながら目の前に広がる瀬戸内海に頭を下げ、感謝の意を表したのでした……。

 イベントの途中には、広島東洋カープのマーティー・ブラウン監督が駆けつけ、サイン入りのボールをステージ上からノックしてプレゼント。その後、1塁ベースを投げた右手で餅撒きを行なった。このサービスには参加していた子供や親御さんも大はしゃぎ。他にも、牡蠣の知識を競い優勝者に広島東陽カープの年間シートが贈呈される『牡蠣ソムリエ検定』や、液晶TVなどの景品が当るビンゴゲームなども無料で行なわれ、大竹市の近海で養殖が盛んなはまちの刺身も振舞われた。

 ただでお腹も心も満たしてくれるカキまつりは、この時期、広島県の至る町で開催されている。情報は広島広域都市圏形成懇談会のHPを参照のこと。

 ただで“おいしい”お祭りだけに、行かなきゃ損しちゃいますよ!

(ヒッチちゃりだー/村田 貴紀)


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◇◆人物(プロフィール)◇◆
ヒッチちゃりだー/村田貴紀
大学卒業後、電機メーカーに就職するが早期退職し、ヒッチハイクと折りたたみ自転車で日本一周の旅に出る。その経験を元に、『寝床の値段』(東京☆一週間・関西☆一週間/講談社)、『ヒッチハイク先生からのお手紙』(不二家Webサイト)、『1日10秒の四字熟語塾』(AOLダイアリー)等の旅コラムを連載、BE-PALでは記者を務めるなど、現在はフリーライターとして活躍中。

HP:http://tabi.cc/index.htm
旅ブログ:http://ameblo.jp/kuinige/ ☆メッセージ書き込み歓迎!!



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