バナー

[ロンドン通信]“今晩泊めて!”
カウチサーフィンって何?


●春を呼ぶ市として有名な、東京都調布市の「深大寺だるま市」が3/3(月)、4(火)に開催されます。境内や門前に約300ものだるまの出店が並びます。この季節の風物詩にぜひ出かけてみませんか。
 ……今夜は泊まれるだろうか。
 疲れた体を引きずってようやく村に入り、一軒の戸を叩く旅人。開けてくれた向こうには、「ああ、ええよ、泊まっておくんなせ。」とじいさん。ああ、よかった今夜も大丈夫だ。心づくしの食事をいただいたあと、快く迎えてくれたお礼にと、旅人が笛を取り出す……。

 昔話のこんなくだりは、今じゃ廃れた風習。こんな旅は想像するのも難しいよな……と思うでしょ? ところがどっこい、現代版があるのだよ。

 「カウチサーフィン」というウェブサイト。非利益組織が運営するサイトで、1999年に発足し会員数は42万人を超え増加中だ。世界中のカウチ(登録ホストのソファー)を寝場所に、旅人がサーフィンする(登録ゲストが旅をする)というコンセプトで、誰でもメンバーになれる。カウチ使用料も登録料も発生しない。もう、これからして「昔のもてなしの心」大復活劇なんだけど、誰だって、知らない家に泊まったり、知らない人を寝泊まりさせるのは不安なもの。昔と違うのは、えへん、インターネットによる保全力がアップしたことだ。

 メンバーになるには、まず登録から。ユーザーネーム、話す言語(初級、上級などレベルも )などから、旅人を迎えたい人は、カウチの有無など。 カウチは提供できなくても、会ってお茶をしたり、場所を案内できるという人も、その点を明記できる。あとは自己紹介、カウチサーフィンの目的など。「出来るだけ旅していろんな人と会いたい」「自分の国の本当の姿を紹介したい」「ビールを飲むか飲まないか、それが肝心」(!?)など、「目的」はさまざま。写真も載せれば、お互いが見えて安心感が増す。
 特筆すべきなのは、信頼も築くために、個々のページにはメール回答率、他のメンバーがその人に会った感想を残す照合システムがあり、メンバーなら誰でも参照でき、その上で接触できること。いわゆる「アブない人」は自動的にサバイバルできない仕組みになっているのであーる。

 旅をしたいと思ったら、その国のメンバーで自分と合いそうな人を探し、 旅の目的、予定滞在日数などを含め、メールで連絡を取りあい、どこに何日お世話になるかを決定する。どんな人かはあらかじめ分かっているから、会話もスムーズ。
 わたしの場合、ホストとして何回か、旅人を迎えている。初めてのときは、フランスからの16歳コンビが一泊していった。それから、NYからのカウチサーファーとお茶したり、ベルギー人の少年でバレエダンサーの卵くんが一週間泊まったり、リトアニアからの熟年カップルと街で夕食をし、プレゼントを戴いたり。
 最新ゲストは日本から。世界を1年半に渡り旅する男性がエジンバラからヒッチハイクしてやってきた。ゲストを迎えた理由は、リトアニアに旅をしたので興味があったり、中東の話を聞きたかったり、バレエが好きだったり、という感じだ。日常生活で出会えないような人と友人になれるし、旅をするにも、ホテル暮らしの観光より、ずっとディープな体験ができていいよ。

 サイトには「世界中にタダの宿泊所を設けるのが目的ではなく、家と心を開き、異文化が生む、幅広い知識の共有を助けることが主な目的。旅のスタイルだけでなく、個々の世界とのつながり方を変えたい」とある。

 余談だが、私が生まれる前に死んだ祖父は、状況が厳しいときは墓のお供え物を頂きながら、好意の宿を借りて放浪したという画家だった。真の旅好きだったという彼のこと、今は天国でネットを繋ぎ、カウチサーフィンを楽しんでいるのかもしれない。
 現代のテクノロジーと融合した「旅人組合」で、カウチサーファーたちよ、グッドラック!

(ロンドン在住フォトグラファー/山内ミキ)



TOPへ新製品ショップ話題フィールドメディア
ご意見・お問い合わせair BE-PALとは?Privacy Policy


 © Shogakukan Inc. 2003 © 村上康成
 All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
 掲載の記事・写真・イラスト等、すべてのコンテンツの無断複写、転載を禁じます。