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白銀の世界で音楽と地球の鼓動を聞いた“雪フェス”


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 トンネルを抜けると、そこは雪フェスだった……思わずそんなフレーズを思い浮かべてしまうような、白銀の世界でのイベントに行ってきた。3月2日(日)に新潟県北魚沼郡川口町にて行われた「SONG OF THE EARTH in Niigata 2008 Kawaguchi Rhythm Jam」。「夏フェスは一般化してきたけれど、冬のフェスティバルってなかったから」と、このイベントの主宰者であり、キャンドルアーティストでもあるCandle JUNEさんは言う。

 そもそも、このイベントが行われた川口町は、あの中越地震で大きな被害を受けた場所。「もともとは『復興イベント』という言葉を使ってました。だけど本当の復興って、元に戻ったら終わりというのではなく、それがずっと続く状態なんじゃないかなって。地震体験を「マイナス」ではなく本当の意味での「プラス」に変える意味を込めて、『フェスティバル』と呼ぶようにしています。『雪フェス』って言うのもいいですね」とJUNEさん。

 そのお言葉どおり、イベント当日は真っ青な空に、真っ白な雪面がキラリ。誰もが「いい天気ですねえ、寒くないし!」とニンマリ顔を見合す、ゴキゲンな陽気だ。大きな災害を巻き起こした大地の上で、澄み切った空が広がる……そのコントラストの妙に、不思議な気持ちになった。自然は時に人間に微笑み、そして時に人間に牙をむく。そんな当たり前のこと、この場所にいると肌を通して感じられる。

 会場の中央にはライブステージが設置され、数々のアーティストがめくるめく音世界を繰り広げていった。ハスキーでぬくもりある歌声の女性シンガーLeyona、アイヌ音楽を現代と融合させたOKI DUB AINU BAND、オーストラリアの民族楽器ディジュリドゥとアッパーなダンスミュージックを融合させたGOMA & JUNGLE RHYTHM SECTION、圧倒的なライブサウンドで魅せるDachamboなどなど、どこか大地の香りがするアーティストたちばかりだ。集まったオーディエンスはみんな雪上のダンサーとなって、踊り、跳ね、そして歓声をあげていた。

 音楽だけではない。会場の中にはアウトドア・ブランドのテントが並び、冬のアウトドアにぴったりの数々のグッズを紹介していた。THE NORTH FACEのブースでスノーシューをはかせてもらい、いざ雪上探索へ! 一方では屋台が立ち並び、湯気と威勢のいい掛け声があがっていた。「おいしいですよ!」との掛け声につられて地元のお漬物を試食したら、ホントにおいしかったので、ついついお買いあげ。雪上で漬物袋をぶら下げて踊りながら「フェスでお漬物って……」と苦笑いしつつ、このローカル感に居心地の良さを覚える。

 ローカル感といえば地元の農家のおじさんたちによる「わらじ制作体験」レクチャーテントも。「もっとこうギュっと! お、都会っ子なのにウマイなあ」なんて笑いながら、和気藹々とわらじ作りにチャレンジする。ふと気になっていた地震のことを聞いてみると「地震のときは家が崩れた。地震が来た直後は、もうみんな普通の状態じゃなかったよな」とおじさんはポツリ。「地震の直後、農家の人たちや山の近くに住む人たちは、食べ物も蓄えていた人が多く、たくましかった。そんな彼らの暮らしを学ぶことも、地震に対する知恵のひとつなんじゃないかなって」とJUNEさんは彼らを招いた理由を教えてくれた。

 夕刻、白銀の世界がピンク色に染まるような見事な夕日が広がった。ボランティアスタッフの手によって、会場に設置されたキャンドルに火がともされていく。JUNEさんの幻想的なキャンドルワールドの向こうに、「にいがたから みんなえがおに」とローソクで作られた文字がゆらめく。地震という災害の記憶は薄れていくかもしれない。だけどその経験から得た知恵や思いは消したくない……そんなメッセージがしみじみと伝わってくる。いつしかすっかり夜になり、吐く息も白い。けれど不思議と心はポカポカ温まる、極上の雪フェスだった。

(田舎遊びに夢中ライター/松岡 絵里)


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◇◆DATA◇◆
◎SONG OF THE EARTH in Niigata 2008 Kawaguchi Rhythm Jam

◎Candle JUNE



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