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ダンゴウオ危機一髪!


●好評の新連載『海辺の家族』最新話、アップいたしました。こちらもどうぞお読みください。
 前回のダンゴウオの続きだよ〜。朝方、採集から戻り疲れている身体にむち打って水槽に捕まえてきた生き物を放り込んだ。そうそうオレの部屋にはトミちゃんほどじゃないが、生き物がた〜くさん。その内、海水魚の水槽は2本。1つは砂地の生き物、もう1つはオレの大好きな潮間帯の生き物水槽だ。

 潮間帯水槽にダンゴちゃん達を入れて様子を確認。ちゃんとなじんでくれるかな〜と思って見るんだけど、ダンゴちゃんは入れると同時に石にへばりつきジッと動かないまま。慣れない水でビックリしているんだろうな〜としばらく様子を見た。

 一緒に連れて帰ったエビちゃん達(サラサエビ・アシナガモエビダマシ)は徐々に動き出し、石に付いている海草類をつつきだしている。
 今回の採集でもう1匹の目玉、それはウミウシの仲間のヒメメリベ(旧姓メリベウミウシ)だ。前から知ってはいたけど、飼育は初めてだ。何がすごいって、この形。それと肉食だって事と何より獲物の捕り方だ。岩に付いているエビの赤ちゃんや小さな魚や微生物を大きな口で投網のように上から被せ補食する。その瞬間を見たくて連れてきたのだ。

 水槽を眺めて1時間、ダンゴウオ以外はみんな水槽内を偵察するように動き回っている。あまりにも動かないので見ていてもつまらなくなり、絵の具の筆でつついてみた。すると吸盤をしっかりつけるように左右に身体を動かし少し沈めた。「泳ぐ姿が見たいんだよ!」ちょっと強めにつついてみると、さすがに嫌がって泳ぎ出した。「えっ!速っ」。想像を超えた速さだ。 それは本当の泳ぎじゃなくて脅かされたので逃げるように泳いだのだ。
 「う〜納得いかんな」そんな事を何度か繰り返しているうちに、岩の後ろに隠れていたダンゴちゃんが表面に泳いでやってきた。「こここれだよ!」その姿はシッポを曲げてスピードを落とし、腹びれを下に向けて胸びれを細かく動かしゆっくりと泳いでいる。まるでヘリコプターのホバーリングのようだ。実に可愛い!音で表現すると、パタ・パタ・パタ。

 水槽を見ているときりがない。もう眺め出してから2時間以上が、経っている。今日はこれくらいにして寝る事に。歯を磨きトイレに行ってベッドに入る前にまたちょっと様子を確認。電気を点けて水槽を覗と「oh!」ダンゴちゃんが泳いでいるではないか。夜行性なんだなとしばらくまた見入ってしまった。

 その時、水槽の水面上にある海藻から身体を半分折る様に左右に曲げながらメリベン(ヒメメリベ)が下りてきた。というかこれはコイツにとっての泳ぎなんだ。「おもろい、おもろいぞ!メリベン」底近くの海藻に乗っかると、もがいている様に口の部分を大きく開けて、あっちこっちにかぶり付いている。見えてないのか? そう思わせる行動だ。
 ところが次の瞬間、石のようになっているダンゴちゃんにきれいに口の投網を打った。「うわ〜」メリベンに捕まったと思った瞬間ダンゴちゃんは泳いで逃げて行った。まさに間一髪?なんてスペクタルな!(以外とメリベンの投網はのんびりだ)ついに見てしまったのだメリベンの捕獲シーンを! オレはこれが見たかったのだ。こんなに速く見られるなんて、興奮をしながら結局朝8時まで水槽の前に釘付けだった。

(ライター/奥山 英治)



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