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ツマキチョウの蛹化


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 ツマキチョウという可憐な蝶をご存知でしょうか、そう、日本では北海道から九州まで分布している、一年に一回だけ、それも春の盛りのころに見られる、シロチョウ科のとても可愛らしい蝶です。「翅の先をツンと尖らせているのとオレンジ色に染めているのが情緒を誘うのだ」とかいって、蝶の好きな虫屋(昆虫愛好家)のなかには、毎年、この蝶が出現するのを心待ちにしているヒトも数多くいます。もちろん私もその一人です。

 ところで、このツマキチョウの蛹(サナギ)を見たことがあるでしょうか? そう、蛹の頭のほうをとがらせた、とてもかっこいい蛹です。あるとき、この蛹を見ていてふと「幼虫は普通の青虫なのに、蛹になるとこの形、あの尖った部分はいったいどうやってできるのだろうか?」という疑問が浮かびました。

 それで、晩春、幼虫の季節に、近所のツマキチョウポイント(毎年、菜の花が咲き、種ができるまで放置している空き地)まで何度も出向いて観察を続けた結果、とても面白い(と自分では思っている)ことがわかりました。

 画像を順に見ていただければある程度はわかると思いますが、ツマキチョウの蛹の尖った部分は、蛹になる準備のできた幼虫(前蛹)のときには、ある程度形作られていて、それが幼虫の頭の部分に、後下方に向けて、窮屈そうに折り曲げて収納してあり、蛹化が始まり、幼虫時代の外皮や複眼の殻が脱げ落ちるとともに、前上方に向けて伸びていき、おそらく同時に体液も流入されて、あの尖った形が出来上ができあがっていくのが観察できました。

 「だからどうなの?」って言わないようにね、一年に一回、春しか発生しないツマキチョウの蛹は、やがて枯れ草色にかわり、枯れ落ちた食草などの植物とともに炎暑の夏と、氷雪の冬とを耐えて、ほとんど11ヶ月以上も蛹のままです。蛹は移動できません、外敵に見つかっても抵抗できません、そんな、いわば「防御力ゼロ」の状態で長期間過ごすのですから、それなりの準備をしなければなりません、あの尖った形も、枯れ落ちて砕けた植物(とくに栽培種アブラナ科植物の果実の鞘など)などに似せたものかもしれません。

 いろいろと小難しいことを書いたけど、春、盛りを過ぎた菜の花畑や周辺の陽当りのよい場所で、可憐なツマキチョウを探してみるのも楽しいだろう。もし見つけたら、「とんがり蛹」と共に、擬態や保護色などの「したたかな生存戦略」などにちょっと思いを巡らしてみるのも面白い。これはなにもツマキチョウだけとは限らないけれど。

(さすらいのナチュラリスト/むいむい西田コージ)



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