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ミセスファーマーの四季暦 4月のお仕事


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 私の住む北海道では桜の便りはまだ先ですが、ふきのとうや福寿草があちこちに見られる季節になりました。今年は温暖化の影響か例年よりも雪解けが早く、4月に入り我が家もにわかに忙しくなってきました。春先は本格的な農繁期に向けての作業が多く、どちらかと言えば雑用的な仕事ばかりですが、もう愛犬トムとのんびりお散歩ばかりもしていられません。

 春先一番に育てるビート(甜菜)の苗は、3月中旬にビート会社からポットを運んできます。直系1.5cmほどの筒状の紙製ポットに1つずつ種と土の入ったものが、1枚の板に約1400本整然とくっついて並んでいます。これは少し離れて見ると、まるで巨大なティラミスのような感じです。それを専用の機具で板から外しながらハウスに並べていき、翌日に肥料と、水をたっぷりかけてあげます。

 最初の水やりは実はとても大事な作業で、これがきちんとできないと苗がうまく育ちません。今年初めてこの大役を仰せつかった新人ファーマーの私は、丸1時間半、手の痺れに耐えながらひたすらポットに水をかけ続けました。1週間経ち、恐る恐るハウスを覗くと、小さなビートの芽がポットから元気に顔を出していたので、ひとまずホッと胸を撫で下ろしました。苗はこの先5月頃に畑に植え付けるまで、時々水をかけながらじっと成長を見守っていきます。

 もう一つの春先の大仕事は薪割りです。この地域では農作物の収穫で忙しい晩秋が過ぎるとすぐに雪が降ってきてしまうので、薪割りはこの季節の作業になる事が多いようです。薪割りと聞くと、昔、“薪割りは疲れますね、お父さん……♪”という歌詞の南こうせつさんの歌がありましたが、我が家では薪割りは女の仕事なのです。去年の秋のうちに切り倒してあった、胡桃、こぶし、柳などの木を、ストーブに入れやすい大きさにチェーンソーで切り出すのは男の仕事、鉞(まさかり)を振り下ろしてそれらの木を割るのは女の仕事という役割分担です。「竹は穂先の方から、木は根元の方から」と言わる通りに、基本を押さえてコツさえ掴んでしまえば案外簡単に割ることができ、パカーンとうまく割れると実に気分爽快です。

 割り終えた薪は、崩れないように所々に芯を入れながら適当な高さに積み上げて、最後に上から雨避けのシートを被せておいて、秋までじっくり乾燥させていきます。薪は乾燥させればさせるほどよく燃えるのです。そして秋になってまた雪が降り出す前に、今度は薪小屋の方へ収納してから更に乾燥させていくので、今年割った薪は来年か再来年の冬用の薪になります。

 北国で暮らす者にとって雪は毎年やっかいな物ですが、雪をうまく利用している方法があります。雪中貯蔵と言って、雪が降り出す前に地面に浅く穴を掘り、そこへ収穫したジャガイモや大根などを入れて、稲藁を載せてから土をかけて保存しておく方法です。白菜などは収穫せずにシートを被せて畑にそのまま残しておきます。その上から雪が降り積もり12月頃から翌春までの間、作物を雪の下の天然の冷蔵庫の中で寝かせておくと、ジャガイモなどは糖度が増して更に美味しくなるのです。

 今日はその野菜たちを長い冬眠から覚ましてあげました。まだ収穫できる作物のない季節に、この雪室から取り出す野菜はとても楽しみでもあります。さっそくジャガイモは皮を剥いて、シンプルに塩茹でにしてお昼の食卓に並びます。熱々のジャガイモにバターをたっぷり載せて食べると、秋の採れたてとはまた違ったほんのりとした甘みが口いっぱいに広がり、至福のひと時です。この美味しいジャガイモを味わうために、また秋まで頑張らなきゃと気持ちを新たにする瞬間なのでした。

(駆け出しのスローライフ・エッセイスト/入舩 めぐみ)



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