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ヒッチハイクのチャリンコライダーが行く
「タダ美味」の旅・4「山菜が満載」の巻(後編)
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目の前に置かれた白い皿の上には、山菜の天ぷらがズラっと並んでいた。新芽を薄っすらと包んだ衣の上にはパチパチと油が踊っている。天ぷらを運んできた山菜採りの達人に種類を尋ねると、随分と長い回答が返ってきた。
「これがアイコ(ミヤマイラクサ)。それとコシアブラに、ウド、コゴミ(クサソテツ)、ボンナ(ヨブスマソウ)だね」
どれからいただこうか迷いつつコシアブラにつまようじを挿すと、ポキっという音がした。外はサクサク、中はホクホクの新芽を数回噛みしめると、口の中にホワ〜っと“黄緑色の香り”が広がった。春の到来を舌と鼻で堪能しながら次の獲物を品定めしていると、別の皿が目の前に置かれた。
「こっちはタラノメと、ハリキリ、アケビの葉ね」
えっ、そんなに何種類もあるんですか? 驚愕する僕に、達人は続けて言った。
「あーそれと、ここにシドケ(モミジガサ)とワラビとハワサビのおひたしもあるから、食べてね」
これらは全て4月26日・27日に行なわれた『旬菜祭り』で振舞われたもの。この祭りに参加した僕は、1日で11種類の山菜をタダ喰いしたことになる。
僕は今、こうした“タダ喰いできるお祭り”を目的地に、月に一度旅をしている。移動はヒッチハイクと持参した折りたたみ自転車。タダで行ってタダで喰うという訳だ。
1月は広島で牡蠣を、2月は長野で蕎麦を、3月は山口で河豚をタダ喰いしてきた。4月は旬の山菜を食べたいと思い、『旬菜祭り』へ行くことにしたのだが……。
旅の初日は1日かけてヒッチハイクを行い、東京から仙台まで移動した。祭りの前日となる2日目は自転車に乗り、現地入りをした。
お祭りを開催した『ワークショップ宮床』は、宮城県大和町の山中でのんびりと運営されている直売所。店内には30名ほどのセミプロ会員(プロも含む)が作った民芸・手芸・工芸品や、野菜、郷土料理、会員が採取してきた山菜(秋季になるとキノコ)などが並んでいる。内装工事も会員自らが手がけ、廃材で作った囲炉裏も置かれていた。
会員の平均年齢は高く、50歳代でも「若手」とみなされる。そのため、一日会場にいた僕は場の雰囲気で会場の設営、天ぷらの仕込み、テントの片付けなどに借り出されることもしばしば。来客者として取材に来たはずだったのだが……。 こうした予想外の出来事も含めて、雰囲気を楽しむことができた。
集客拡大を目的に行なわれたお祭りだが、決して規模は大きくない。しかし、振舞われた食事は今まで以上に豪華だった。サフランごはん、サフランティー、ナメコの味噌汁、セイサイの塩漬け、白菜のクルミ漬け、オカラのドーナツ、黒豆おこわ、干し柿の天ぷらといった郷土料理のフルコース、11種の山菜、その他もろもろ。振舞われた料理でお腹が満たされ、買い物するのを忘れてしまったお客さんもいたのでは?
郷土料理は周辺に住む女性会員が持ち寄ったもの。食材は自宅の畑で作った採れたての無農薬野菜が中心だ。調味料もなるべく無添加のものを使うように心がけている。小規模で少量供給だからこそ、ここでは高鮮度で高品質な食品提供が実現しているのだ。
山菜のおひたしは独特の苦味や風味が損なわれないようにサッと茹でるだけにするのがポイント。ワラビは沸騰しているお湯に重曹と共に入れ、再沸騰してから30秒。シドケは塩水を沸騰させ2分ほど茹でる。ハワサビに関しては茹でず、細かく刻んだものをザルに入れ、熱湯をかけるだけで食べる。こうすることで独特の香りが損なわれず、噛んだ直後に舌で葉の甘みを、後から鼻でツーンとした辛味を楽しむことができる。醤油かそばつゆを和えるとさらに美味しくいただける。
ワラビはショウガ醤油に漬けるのがオススメ。コリコリとした触感が癖になりそうだ。苦味の強いシドケは、ホウレンソウのおひたしと2対1の割合で混ぜて口当たりをまろやかにする。これとダシ醤油の相性はバツグンなのだ。
お祭りで振舞われた山菜や郷土料理はワークショップ宮床で購入することができる。山菜に関しては当日の朝、もしくは前日に採れたものがほとんど。6月末頃まで販売される予定。価格も大粒のタラノメが6〜8つで300円など、良心的なものが多い。
お祭りでない日に行っても「まあお茶でも飲んでいきなさいよ」と囲炉裏に招かれ、何かしら振舞われるらしいので、販売している商品に興味がわいた人も、わかなかった人も、行ってみる価値はあるのでは!?
(ヒッチちゃりだー/村田 貴紀)
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◇◆DATA◇◆
『ワークショップ宮床』
営業日:金・土・日曜日、祝祭日
営業時間:10時〜15時
住所:宮城県大和町宮床四辻229
電話:022(346)5820
◇◆人物(プロフィール)◇◆
ヒッチちゃりだー/村田 貴紀
大学卒業後、電機メーカーに就職するが早期退職し、ヒッチハイクと折りたたみ自転車で日本一周の旅に出る。その経験を元に、『寝床の値段』(東京☆一週間・関西☆一週間/講談社)、『ヒッチハイク先生からのお手紙』(不二家Webサイト)、『1日10秒の四字熟語塾』(AOLダイアリー)等の旅コラムを連載。BE-PALでは記者を務めるなど、現在はフリーライターとして活躍中。
HP:http://tabi.cc/
旅ブログ:http://ameblo.jp/kuinige/ ☆メッセージ書き込み歓迎!!
★『タダ美味の旅』バックナンバー★
【1】1月「おおたけカキ」の巻(前編)2008.01.26配信
【2】1月「おおたけカキ」の巻(後編)2008.02.16配信
【3】2月「戸隠そば」の巻(前編)2008.02.20配信
【4】3月「真ふぐ」の巻(前編)2008.03.06配信
【5】3月「戸隠そば」の巻(後編)2008.03.13配信
【6】3月「真ふぐ」の巻(後編)2008.03.22配信
【7】4月「山菜が満載」の巻(前編)2008.04.23配信
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