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ヒッチハイクのチャリンコライダーが行く
「タダ美味」の旅・8「一本釣りのマグロ」の巻(後編)
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獲物を追って今にも泳ぎ始めそうな鋭い目をしたクロマグロが、大きなまな板の上に横たわった。全長1.8m、重量178kgの先鋭な体は、スイカを切るように手際よく捌かれ、無料で配られた。紅色をした赤身と濃白色をした脂身が、バームクーヘンのように弧を描く刺身は、トロなのに角が立ち、歯ごたえもある。外はプリリと弾力があるにもかかわらず、口に含むとトロ〜ンととろけ、コンブ出汁のような深い香りと濃厚な動物性たんぱく質の味が吹き出してきた。僕は、生肉でしか堪能することはできないであろう身の締まり具合に感激し、体を張って一本釣りを続ける漁師の皆様に感謝したのでありました。
これは8月14日に『ブルーマリンフェスティバル』で行なわれたマグロの解体ショーの様子。僕は今、こうした “タダ喰いできる”お祭りを目的地に、毎月、旅をしている。1月は広島でカキを、2月は長野でそばを、3月は山口で河豚を、4月は宮城で山菜を、5月は静岡でカツオを、6月は千葉ですいかを、7月は北海道でうにをタダ喰いしてきた。移動はヒッチハイクと持参した折りたたみ自転車で行なう。タダで行ってタダで喰う、というわけだ。
8月は本州最北端の大間町まで行き、マグロ類の中で最も高級とされるクロマグロをタダ喰いしてきた。それも、一本釣りされた生(非解凍)の刺身を、だ。
大間で水揚げされるマグロの最大の特徴は、その鮮度の高さにある。本州最北端の地『大間崎』から目鼻先の距離にある『弁天島』周辺は最大の漁場であり、港からの距離も非常に近い。大間で盛んに行なわれている一本釣り漁法は、仕掛けにかかった直後から素早く水揚げを始めることができるので、他の漁法に比べ鮮度が保ちやすい。
マグロの一本釣りは古くから行なわれている簡明な漁法だ。一本の釣り糸に餌をひとつつけ、撒き餌も使わない。しかし、餌に使う魚の種類や餌のつけ方は漁師によって異なり、漁を大きく左右する。個々の秘訣は門外不出であり、引退するまで息子にすら教えない漁師もいるほどだ。「協力だけでなく競争する意識があるからこそ工夫するし、質を維持できる」と、現役の漁師は言う。
港に揚げられたマグロは常駐する漁協職員により5分以内に氷水に入れられ、冷蔵庫に運ばれる。職員は管理技術の向上にも余念がなく、マグロ漁で競合する対岸の戸井漁協(北海道)に研修を申し込み、新たな冷蔵技術を学んできたこともあった。こうした、漁場、漁法、漁師や漁協の努力により、大間で水揚げされたマグロは高品質に保たれてきたのだ。
また、大間近海で獲れるマグロは太いことでも名高い。長さは他の地域とさほど差がないが、重量が大きい。400kg超の国内最大のマグロも大間で水揚げされている。
大間周辺の海底は凹凸の多い岩場になっていて魚が隠れやすく、マグロの餌が豊富にある。遠浅や砂地の海底をした海では太いマグロは育ちにくいのだ。
また、水揚げされるマグロの多くが100kgを超える大間では、20〜30kg代のマグロは漁師が家に持ち帰ることが多いため(kg単価数万円で取引されるのだから、結構な高値になるのでは???)、小さく細いマグロが出荷されることも少ない。太い魚は細長い魚よりも油ののりも良く、美味しいと評され、高い値がつく。kg単価10万円の国内最高額をつけたマグロも、大間で水揚げされている。
近年は順調な大間のマグロ漁も、過去に長年途絶えた時期があった。昭和50〜60年代にかけて、津軽海峡からマグロが姿を消したことがあったのだ。しかし、多くのマグロ漁師は、北海道などの外海でマグロ漁を続けたり、津軽海峡で他の魚の漁を行なうなどして船を降りなかった。そして、平成5年以降、津軽海峡へマグロが戻ってくると次々とマグロ漁を再開し、現在の繁栄を築いたのだ。一度消えかかったマグロ漁の火は、船を降りなかった漁師の志によって保たれてきたのである。
一本釣りされたマグロの解体ショーは10月開催の『大間超マグロ祭り』でも行なわれる。捌いたマグロを“超”安い値段で、その場で販売するというから、貴方も生と解凍の違いを現地へ確かめに行ってみてはいかがでしょうか?
※air be-palでの連載は今月で終了ですが、『タダ美味の旅』はまだまだ続きますよ〜
※今後の旅の予定は、リアルタイムで更新する旅ブログにて報告いたします!
(ヒッチちゃりだー/村田 貴紀)
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◇◆DATA◇◆
『大間超マグロ祭り』
日程:2008年10月24日(金)〜26日(日)
会場:大間港
連絡:大間町観光協会
電話:0175(37)2233
◇◆人物(プロフィール)◇◆
ヒッチちゃりだー/村田貴紀
大学卒業後、電機メーカーに就職するが早期退職し、ヒッチハイクと折りたたみ自転車で日本一周の旅に出る。その経験を元に、『寝床の値段』(東京☆一週間・関西☆一週間/講談社)、『ヒッチハイク先生からのお手紙』(不二家Webサイト)、『1日10秒の四字熟語塾』(AOLダイアリー)等の旅コラムを連載。BE-PALでは記者を務めるなど、現在はフリーライターとして活躍中。
HP:http://tabi.cc/
旅ブログ:http://ameblo.jp/kuinige/ ☆メッセージ書き込み歓迎!!
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◇◆お知らせ◇◆
「airBE-PAL」は2008年8月31日を以って終了することになりました。
長い間ご愛読いただき、まことにありがとうございました。
31日まで、まだまだ新鮮な記事を配信し続けます。最後までお楽しみに。
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