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田舎の小さなケーキやさんの、今だけ絶品モンブラン


●明日10/26(金)より、長崎県佐世保市で「YOSAKOIさせぼ祭り」が始まります。10回目を迎える今年は、全国各地から140チームの踊り子達が参加。佐世保ならではの街並みの中、華麗なダンスが繰り広げられます。
 誠実に仕事をするとはこういうことなのだなあと、このモンブランを食べてしみじみ思った。和歌山県田辺市中辺路町にある田舎の小さなケーキ屋さん、一菓(いちか)
 パティシエの竹中一恵(いちえ)さんが、このお店を開いたのは去年の11月17日。まだまだお店の歴史は浅いけれど、職人としての彼女のケーキ作りに対する姿勢には一本筋が通っている。
 
 使う材料は国産の小麦粉と地元産の卵。普通の小麦粉の倍の値段だけれど、いいものを使いたいという気持ちから。卵も地元の人から買えば、ニワトリにやっているエサもわかって安心だからと彼女は言う。また、人気のシュークリームも夏場はカスタードクリームが傷みやすいので作らないとのこと。ケーキの安全、安心に対する考えは徹底している。
 けれどそんな厳しさは内に秘めた彼女、お話を聞いても「あー、いや別に、たいしたことは……」と低い声でぼそぼそっと答えるだけ。シャイであまり多くは語らないのだ。

 先日その一菓で午後のお茶の時間を過ごした。この日私が頼んだのは黒糖ロール。しっとりしたスポンジにほんのり優しい甘さが口に広がる。フルーツショートを頼んだ友人は「柿が入ってる」とびっくり。意外だったが、小さく刻んだ柿のシャキシャキ感と控えめな甘さが生クリームにとても合っていた。できるだけ季節の果物を使いたいからなのだそうだ。
 のんびりコーヒーを飲んでいると地元のご婦人たちが次々に訪れ、ショーケースの中のケーキ(毎日7、8種類焼くという)は見る間になくなっていく。追加のチーズケーキが焼きあがるまではケースがほとんど空っぽ状態だった。
 
 さて、そんなケーキの中でも今だけ食べられるのがこのモンブラン。地元の栗だけを使い、ていねいに皮をむいてクリームを作る。中に入った栗の渋皮煮もとてもおいしい。ゴテゴテと飾らず、素材の味がしっかり生きている。手間がかかるので一日にたくさんは作れない。店頭に並ぶのはなんと8〜10個ぐらい。(事前に頼めばもう少し追加で作ってはくれるそうだが。)そして栗がなくなれば今年はモンブラン終了! になるらしい。

 こんなに贅沢な材料を使っているというのに、ケーキはすべて驚くほど安い。モンブランが一番高くて380円だが、抹茶ケーキにクラシックショコラ、チーズケーキなどなど、あとはほとんどが280円前後。  
 近所の子どもがお小遣いを握りしめて「1個だけちょうだい」と買いに来てくれることもあるので、値段は上げたくないとギリギリのところでがんばっておられるのだ。

 260円のコーヒーゼリーにもプラスチックではなくちゃんとガラスの器を使っている。そして『リサイクルのため、ガラスの器を3個持って来てくれたら120円の焼き菓子を一つ指し上げます』なんて、書かれているのだ。
 この生真面目さと味に惚れて通ってくる人は多い。熊野古道を訪れる途中にでもぜひ立ち寄ってみてほしい。

(エッセイスト/松上 京子)


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◇◆『田舎のケーキ屋 一菓』DATA◇◆
住所/〒646-1421 和歌山県田辺市中辺路町栗栖川74-1
TEL/0739-64-1230
営業時間/10:00〜18:00
定休日/毎週月曜日と月に2回ぐらい火曜日。祝日は営業。



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