 |
 |
冬のブランチに、コーンブレッドはいかが
|
東京が今年初めてうっすら雪化粧した日のこと。ベランダに積もったフカフカの雪を見て、ホカホカのコーンブレッドが頭に浮かび、早速焼くことにしました。時間のかかるパンと違ってベーキングパウダーで焼くクイックブレッドなので、1時間もあれば出来上がり、こんな日のブランチにぴったりです。朝の雪を見て一時は「雨読の日」と決め込んだものの、縮こみそうだった身も心もとかしてホカホカの気分にしてくれました。
コーンブレッドは、トウモロコシの粉と小麦粉で焼くアメリカ南部の家庭の味。よく豆料理の付け合わせになっています。もそもそした口当たりの中に、コーングリッツ(トウモロコシの粗挽き)のブツブツした歯ごたえがあり、噛みしめるとじわっと広がる甘みが魅力。太陽をあびたトウモロコシの日向くさい香りが、寒い日こそ特別うれしく感じられます。
チーズやスープを添えて食事としてもいいし、おやつにジャム、ハチミツ、アイスクリームなどをトッピングしてもおいしいし、ビールにも意外と合うし……。
私の好みは塩をちょっぴりきかせたもの。トウモロコシ自体の甘みを味わうために砂糖はゼロ。これにスライスチーズを挟んでほおばると、もう止まらない……。3〜4人分の焼き型で焼いても、アッという間に平らげてしまいます。
作り方はココをクリック。
注意することは、材料にコーングリッツを使うこと。トウモロコシは粒子の大きさによってコーングリッツ、コーンミール、コーンフラワーと種類が分かれます。コーンブレッドに適しているのは粗挽きのコーングリッツかコーンミール。もっと細かい粉状のコーンフラワーはタコスの皮などに使われ、コーンブレッドには向きません。
最近は製菓材料店にそろっているし、ネット通販でも手に入ります。
さて、コーンブレッドと聞いて、思い出すのはトム・ハンクスの映画『グリーンマイル』。刑務所の看守役のトム・ハンクスが差し入れた妻の手作りのコーンブレッドを、マイケル・クラーク・ダンカン扮する大男の死刑囚がほおばるシーンは、非常に印象的。おいしそうでしたよね。実をいうとあの映画を見て私も手作りするようになったのです。
でも、パン作りをする人でもコーンブレッドを作る人は少ないみたいで、レシピ本は多くはありません。そんな中で唯一の専門書といえるのが『コーンブレッドの本』。ジェレミー・ジャクソン(なかなかのイケメン)というアイオワ州のトウモロコシ畑に囲まれて生活している人が書いたもので、50種もレシピを紹介。ポップコーンで作ったり、唐辛子やニンニクを入れたり、型破りなレシピもありますが、カップ計量なのでカンタン!「生地の中にまだ小さなかたまりが見えるくらいが良い」などアメリカらしいアバウトさで、いきなりアメリカのまっただ中に連れ込まれてしまう楽しい本です。
その本によると、トウモロコシは一般的に白と黄色(アメリカにはブルーコーンや赤、紫、黒、ピンクもあるとか)があるそうです。映画『グリーンマイル』に出てきたコーンブレッドが白っぽかったのは、舞台となった東南部(ジョージア州)ではホワイトコーンを使うことが多いから。今でもアメリカ南部では、真のコーンブレッドはホワイトコーンを鋳鉄のスキレット(重いフライパンのような鍋)で焼くものだといわれているそうです。アメリカ料理にしては歴史もあり、地域性あふれる伝統料理なのだということが伝わってきます。
アメリカならどこでも見かけるコーンブレッドですが、日本ではあまり見かけないのは、残念。ドーナッツでもベーグルでもアメリカのものは何でも日本にあると思いきや、この定番がないのは不思議といえば不思議。それならば、手作りするしかありません。
案外手軽にでき、失敗も少なく、冷凍保存も可能。週末のブランチなどに、ぜひ、おすすめです。
(ライター/浜田 ナツミ)
|
|