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八重山産ジャージー牛のアイスクリーム
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2004年の夏、崎枝百合香さんは嫁ぎ先の西表島で、マンゴー農家の手伝いをしていた。天候に恵まれ豊作の年だった。ところが台風続きで飛行機が欠航。運行再開となっても乗客優先で、内地(国内の沖縄以外の地域)のお客さんに届けるマンゴーは思うように送れない。収穫した果実は行き場がないままどんどん熟れていく。やきもきする崎枝さんに向かって、農家の主人はしまいに「畑に投げる(捨てる)からいいよ」といった。
「びっくりしちゃいますよね。結局1、2トンは捨てたかな。もったいないなぁ、加工の知恵があればいいことできるのに」
しかしこのときの経験は、あとで生きてくることになる。
崎枝さんは「おかしい」と思ったことをそのままにしておかない。西表ではたくさん和牛を繁殖しているが、子牛はほとんど全部セリにかけられ内地に引き取られる。地元が気軽に食べられるわけではない。また離島のため多くの家庭が生協を利用しているが、生協で牛乳を注文すると沖縄本島から送られてくるものを飲むことになる。地産地消ではないのだ。
「これは改善の余地がある……」
そう感じていたころ、熊本で牧場を経営していた父親が事業をやめることになった。崎枝さんはジャージー牛を2頭引き継ぎ、西表で牧場をはじめようと思いつく。
牧場は子供のころから18歳になる直前までずっと手伝っていた。その後、父親の母国であるイギリスに留学したのち八重山へ。西表にはじめて来たとき、イギリスで訪れたジャージー牛の故郷、ジャージー島に雰囲気が似ていると感じたという。そのときわいた、この島でもジャージー牛を育てられるはずだ、という直感は、和牛を育てる農家の人と話をするうちに確信に変わっていった。
牧場にする土地は夫のおじいちゃんの休耕田を借りることにした。しかしそこからが大変。のちのち製品を販売することを考え、役場を通して正式に、休耕田を牧場として借地契約しようとしたが、契約にこぎつけるまでに半年かかった。さらに、簡単なプレハブの農産物加工場の工事を8カ月も待たされるなど、田舎で新しいことをはじめる女性が、周囲の理解や協力をとりつけることは並大抵ではなかった。
2006年、さまざまな努力の末、やっと農業者として認められるようになり、加工品の販売をはじめるようになる。こだわりのアイス、ヨーグルト、プリン、ガトーフロマージュ(チーズケーキ)と少しずつ製品の幅を広げ、この夏デビューしたのはフルーツジャム。4年前マンゴーを捨てたことが忘れられず、農家が生食用として出荷できない完熟のB級果物でジャムを作ることにしたのだ。
「目指すところですか? とりあえず、土地で採れたものを子供たちに提供することですね。牛乳やヨーグルトを給食で取り入れてもらえるようになるのが第一の目標かな」
崎枝さんのチャレンジは、まだはじまったばかりだ。
(ライター/山下 智菜美)
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◇◆DATA◇◆
「ティダミルク牧場 西表島」
電話:090−2553−0226
メール:info@tiidamilk-iriomote.com
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