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南極・昭和基地からの手紙・4
『幻想的な光の饗宴・南極の空』


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 南極では今、秋から冬に向かっており、5月31日からは一日中太陽が昇らない『極夜』が始まっています。今度、太陽に会えるのは7月半ばです。
 日本で忙しく生活している時は、ゆっくり空を見上げることなどめったにありませんでした。日々の天候や季節の移り変わりにも無頓着で。でも、南極昭和基地に来てからは、毎日、飽かず空を眺めています。というのも、南極の冷たく澄んだ空気の中では、オーロラをはじめ、日本ではめったに見ることのできない不思議な光の現象に、しばしば巡りあうことができるからなのです。

 まず、ちょっと違うのが、朝焼け夕焼けの空の色。日本のような真っ赤な夕焼け空にはならず、空気が澄んでいて塵が少ないため、淡いピンクや紫色に見えます。
 太陽や月が昇ったり沈んだりする瞬間を見ていると、丸いはずの太陽や月が、時に、ゆがんでいたり、つぶれていたり、四角く見えたりすることがあります。初めは「月の形が変だぞ!」と大騒ぎになり、大勢の隊員がカメラを持ち出して撮影会が始まったものでした。その正体は、大気中で光が屈折する『大気差』というもの。

 同様に、光の異常屈折による不思議な現象として、きっとみなさんもよくご存じなのが『蜃気楼』。なかでも上に伸びる蜃気楼は、日本では富山湾など限られた地域でしか見られず、非常に珍しいものですが、昭和基地では、晴れた日に海氷方面を眺めると、氷山が上に伸びたり浮き上がったりしている像が見えます。時々見られるので、最近では感動も薄れ「お、出てるね」という感じです。

 冷え込みが厳しくなると、空気中の氷の結晶が光に反射してキラキラ輝く『ダイヤモンドダスト』が出現します。この氷の結晶に光が反射したり屈折したりして、太陽や月や外灯の光が柱のように見えるのが『サンピラー』『ムーンピラー』『ライトピラー』です。
 他にも、太陽や月のまわりに光の輪ができる『暈(ハロー)』、太陽の両側に明るいスポットが出現する『幻日』など、空を彩る光のショーに目を見張るばかりです。

 南極の定番、そして圧巻なのが、なんといってもオーロラ。緑色の帯状、カーテン状に見えるものが最も多いのですが、一部が赤やピンクになることもあり、全天に渦を巻きながら物凄い速さで姿を変えていく様は、この世のものとは思えません。
空が裂けるかの恐怖すら感じさせます。
 オーロラはちょっと無理としても、実は御紹介したこれら大気光学現象のほとんどは、稀ながら日本の空でも見ることができるものです。そういう目で、注意深く空を眺めてみれば、不思議な光の現象に出会えるかもしれませんね。

(南極観測隊員/志賀 尚子)


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◇◆参照◇◆

●ホームページ:『天空博物館』

●参考文献:『空の色と光の図鑑』 斉藤文一(文)、武田康男(写真)(草思社)



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