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国東半島干潟遊び日記 その1 干潟は海の保育園

 僕が住んでいる大分県の豊後高田市は、国東半島の北の付け根にある。北九州市から豊後高田市にかけての海岸線は周防灘に面した長い干潟の浜になっていて、豊後高田市の旧真玉町から国東半島特有の浜と磯が連続する地形に変わる。
 引っ越した直後は「つまらない海だな」と感じていた。
 「海が浅くて、釣りがしにくい」
 「満ちても干いても潮が濁っている」
 千葉県の磯でルアーを引いたり、離島の磯でブラクリ釣りを楽しんでいた経験から、干潟はどうしようもない海に思えた。

 干潟は面白いと気づいたのは、真玉町にある大きな干潟で遊んだのがきっかけだった。干潮になると、おだやかな起伏のある砂泥の浜に幾筋もの潮溜りが生まれる。海から出た砂にはコメツキガニの群れがいる。浅い水辺にはスゴカイ(フクロイソメ)の巣が並んで、大粒の砂を寄せたモザイクの芸術を陳列している。

 春の潮溜りを歩いていくと、足元を小さな生き物が砂煙を上げてあちらこちらに逃げ惑う。よくよく眺めると、甲の幅が一センチたらずのワタリガニ、大人の爪ぐらいの大きさのカレイの赤ちゃんがあちらこちらに遊んでいるのだ。
 つまり、ここは海の保育園なのだ。干潟は、海の豊かさを保証する一番手の砦なのだと、あらためて知ったのだった。そう思ってみると、日本の工業地帯や石油コンビナートは、みごとなほど干潟を埋め立てた場所に建設されていることに気がついて、暗澹たる気持ちにもなるのだけれど……。

 僕がよく遊ぶのは、この真玉の干潟と、豊後高田市街を流れる桂川の河口の干潟だ。しいて言うなら、真玉の干潟は春遊びに向き、桂川の干潟は秋遊びに向いている。秋になれば、潮の満ち干に従ってチヌ、スズキが川を上り下りするようになるし、ハゼ釣りも楽しめる。
 これから潮見表を片手に、空模様や風を読みながら、ふらりと干潟遊びにでかけた様子を報告しようと思います。
 よろしくお願いします。

(作家/毛利 甚八)



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