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南極・昭和基地からの手紙・8 ブリザード
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今、昭和基地の外はブリザード。吹雪です。窓の外は真っ白で、風が唸りをあげ、基地の建物が時々みしみし音を立てて揺れます。
昭和基地では、視程(可視距離)1km未満かつ風速10m/s以上の状態が6時間以上続くとブリザード(C級)と認定されます。風速15m/s以上が12時間以上になるとB級、さらに視程100m未満かつ風速25m/s以上が6時間以上続くとA級、と等級が上がります。日本でも、台風の時には最大瞬間風速20m/sを越えることもありますが、何時間にもわたって続くことはありません。強い風が、時には何日も吹き続けるのが、南極のブリザードの特徴です。
ブリザードの中では、まともに立っていることも普通に歩くことも困難です。風上に顔を向けると、雪つぶてで顔が痛いし、目を開けていることすらできません。
視程と風速がブリザード基準に達すると、「ただ今、外出注意令が発令されました。」という全館一斉放送が入り、人員確認が行われます。そして、「○時○分、35人全員の所在確認完了。以後、建物間の移動に際しては通信室に連絡を入れて下さい。」という放送が入り、みんなが集まる食堂入口に『外出注意令・禁止令』のサインが出ます。
ブリザードの時には、屋外での作業ができません。屋内に人手があるこの時を利用して、基地の床のワックスがけや、ルート工作に必要な旗竿作成などの作業が人海戦術で行われます。しかし、悪天候にも関わらず、基地の主屋棟から離れた観測棟にこもって定常観測を続けなければならない隊員もいます。そんな時のために、主屋棟と各観測棟の間には、視界が悪くても道に迷わないようライフロープが張られており、何日間も泊まり込みで観測が続けられるよう、各観測棟にはインスタント食品や缶詰などの非常食、および寝袋などが備えられています。
昭和基地では、気象庁から出向中の5人の隊員が、毎日交代で観測装置を気球で飛ばし、南極上空の気温・風速を測定していますが、これは外出禁止令が出ない限り、ブリザードの時にも行われます。気球が割れないよう注意しつつ、自分も飛ばされないようにしなければなりませんから、危険も伴い緊張する作業です。
ブリザードが過ぎ去った後は、台風一過のようなよいお天気になることが多いのですが、のんびりしてはいられません。早速外に出て、強風のため観測機器やアンテナ、燃料タンク、送油管、水槽、ポンプ等のライフラインが壊れなかったか、建物や倉庫に雪が吹き込んでいないか、点検するための見回りに行きます。そして、除雪作業が待っています。
(南極観測隊員/志賀 尚子)
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