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“スキーで歩いて南極点へ”ツアー顛末記3


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 南極大陸へのスタンバイ8日目ご報告の続きです。前回の原稿をエアービーパルに送ったのは8日目の朝。その直後、08:37に電話がありました! ALEからです。
 「ジョン(ガイド)はどこだ!」と言う。
 まさか寝ているとも言えないので、起こしに行ったのですが、彼がなかなか起きないんです。電話の向こうの相手をなだめているうち、やっと起きてきたジョンが電話に出ると、なんと「45分後にバスが来る」とのこと。大慌てですべての荷物を片付け、荷物と装備の準備をし、最後のメールを送って、陸地最後の朝ごはんをかっ込んで、表に飛び出しました。

 空港では、出国のスタンプを押してもらうだけ。入国のイミグレーションがないんですよ。どこの国にも属さない巨大な氷の大地へ行くんだぁ、という感じでした。係官は「Good Luck!」とにっこりしてくれました。乗ってきたバスにまた乗り込んで、待つこと小一時間。滑走路のかなたに止まっていた白いイリューシンAL76の翼の下に降り立ちました。

 「窓がない……
 これは貨物用の飛行機でした。中に入るとど真ん中には大荷物の山です。貨物と49人の乗客、プラスクルーたちで、17トンだそうです。それ以外に南極大陸まで往復する燃料が84トン!  気が遠くなる……。
 私たち人間は壁に取り付けられたベンチシートに壁を背もたれにして座りシートベルトをします。これから4時間半の旅。天気はまだまだ不安定で、毎時間ごとの天候状況のやり取りを続けながらのオペレート決行になったようなのです。つい2年ほど前には飛んだものの、着陸寸前で引き返したとか。彼らにとっても、私たちにとっても賭けでした。

 でも、安心してください。ちゃんと着きました!  着陸は、てらてら光るブルーアイスにしてはスムーズでした。ウクライナ人のキャビンアテンダントのおじさんが「Welcome to Antarctica!」とアナウンスしてくれた時には、歓声と拍手が沸き起こり、9チーム、49人全員の心が震えているのを感じました。
 午後4:00過ぎに着陸し、ALEパトリオットヒルズ基地のダイニングテントで、豪華なご飯をふるまわれ、簡単なガイダンスが。このころには膨大な荷物が荷降ろしされ、仕分けされてキャンプ地に届けられていました。そしてそれぞれの隊がそれぞれの目的のために散っていきました。

 一緒に飛んだ49人のうち、ほとんどがヴィンソン山へのツアー登山隊でした。この山は南極大陸最高峰、そしてもちろん七大陸最高峰の一つであるため、これを目指す人はとても多く、世界中から登山者が集まります。たくさんのガイド会社がこの山へのツアー登山を売り出しています。お値段はちょっと高めですが。今回のフライトでは南極点を目指すのは、私達4人も含めて9人。あとの40人はヴィンソン隊でした。

 さて私たちはそのままテントを張り、ノースウィンズの2004-05のチームが「デポ」していった橇や食糧、装備などをデポ地の雪の下から2時間半かけて掘り出しました。
 ほとんど毎年来るガイドたちは、橇や余った食料や装備などを、持って帰って、また持ってくるという手間と費用を省くために、ALE指定のデポ地に置いて埋めていくのです。翌年来た時はまた掘り出して使うというわけです。

 しかし2年ぶりともなれば、結構な雪に覆われて、ほんとうに大変でした。チームメイトのキャメロン君が2m近い深さの、墓穴のような穴を掘り、探し出しました。これでやっと橇に荷造りできます。これがだいたい夜の10時ごろ。
 それからまだまだすることばかりで、荷物の仕分け、再梱包、掘り出した装備類のチェック、橇のロープを新しいものと取り換えるなどの仕事が終わったのが真夜中12:00頃。そして夜中の12時にパスタを作ってみんなで食べました。
 南極大陸ではすでに白夜に入っていて、太陽は決して沈まず、ほぼ同じ高さ、30度位の高度かなぁ、ぐるっと回り続けます。なので真夜中という感じがしません。

 そして緊張の翌日、11/28。この日は私たちの出発地点への飛行です。ハーキュリーズインレット(湾)は、南極大陸の氷の下にある大地の端に当たります。ちょうど南緯80度。つまり大陸の端から南極点へというわけです。今度はツインオッター機に荷造りした橇を積み込み、私たち4人も乗って、飛び立ちました。上空からパトリオットヒルズ基地を見て、連なる雄大な山並みを目にし、その大きさと美しさに打たれました。
 眼下に広がる広大な、真っ白な、ひたすらましろな大地を見ていると、こんな所を60日間かけていくのかという、なんとも切ない、そして不安と、そして決してあきらめないという気持ちのないまぜになったような、不思議な気分でした。

 しかし、南極は美しい。たくさんの国を旅してきましたが、どことも比べられないくらいに、とてつもなく大きく、ひたすら美しい。

 長くなりました。次回は歩き始めてからのエピソードをご報告したいと思ってます。乞うご期待。

(登山家ライター/續 素美代)



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