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“スキーで歩いて南極点へ”ツアー顛末記20
The Last 1 Degree、本物の南極
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やはり朝はつらい。目覚ましアラームが止まって2分の静けさの後、ジョンがとび起きて、前室のキッチンでガタガタやり始めるころにキャメロンと私がのそのそ起き上がることが増えてきました。全身が痛い。きっとみんなもつらいだろうなぁ。
めげずにゆっくりとお茶を飲み、スープ、朝食とルーティンを通過。今まで無敵の食欲を誇ってきた私の胃袋は、もう食べ物をありがたがってくれなくなっていました。辛うじて日本から持ってきたお寿司ご飯やごぼうのおみそ汁などが気分を和らげるくらいです。唯一の楽しみであった食べることが今や嬉しくない……。
日本に帰ったらまずアンキモ宴会だ、出発前に飲み仲間と交わした約束が笑顔を誘いました。
巨大なサスツルギ帯を再び登り、再び下る。地形の関係か、風の影響か、巨大なサスツルギは北側の斜面で発達し、登る間はうねうねと避けて歩かなくてはいけません。風は幾分弱まっていても気温が低く、寒い。テントの中はビニールハウスのようなホカホカはもう期待できないようです。寒さに震えながら身支度をし、電話をかけ、ストーブの調整や、ヒゲの手入れ、etc. etc.
1月16日、第2セッションで歩いている時、突然ジョンの叫び声が降ってきました。「見ろ!見ろ!」何事かと思ったら鳥が私たちをかすめて飛んで行くところでした。それもすぐ近くに着陸。こんな内陸で生き物を見るとは……。しばらく鳥のことを考えながら歩いて行きました。あんなに近くまで寄ってきたのは、私たちを仲間だと思ったのだろうか……。
そしてついに、ついに89度を超えました。1月19日、出発から50日目(サイクル)のことです。高度は2750m。残りあと1度、約120km。高度差75m。しかしここからが最も厳しいものになるだろうかと、ますます緊張感が高まります。厳寒と強風がいつ襲いかかっても不思議ではない場所。疲労はすさまじく、昨日の夕方は低血糖に悩まされた。頬には凍傷なのか、かさぶたができてしまいました。体じゅうに疲労物質と悲痛気分が飽和状態で、全身の毛穴から漏出している感じです。次に何かが起きたら、南極点を目前にしてあきらめなくてはいけないかもしれない。怖くて怖くて……。
***
カラダが震える……。
今日もこれでやっと終わる。長かった。
そしてあと3日。でも1日は本当に長い。
そしてあと50分。でもあまりにも遠く 寒く つらい。
キャメロンの足は本当にひどい。もう血の混じった水疱になっている
夜、ジョンの指示でマメをつぶした。
あと3日、50分持てばいいけれど、あまりにも痛々しい。
(略)
60日はあまりにも長すぎる。体はくたくた、毎朝泣きたくなるのをこらえて
あと5日、あと4日、あと3日、と、考えてみても、この1日が長い 長い
考えないようにしても、もうつらいのですぐ頭がそこにいく
とにかく前だけ、前だけ
(1/19日記より)
***
東京の友人に電話をしたら、「新聞に記事が出ていた」というのです。恐ろしくてたまらなくなってしまいました。まだ1度あるのに、あと100km以上歩かなくてはいけないのに。
「私は本当に南極点に着けるかしら……」
涙をこらえてつぶやいてしまう。明日と明後日としあさって。私は生きてこの道を歩き続けられるだろうか。
(登山家・ライター/續 素美代)
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