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“スキーで歩いて南極点へ”ツアー顛末記22
南極点とアメリカの気象基地


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 南極点です。と言って右の写真を見せると、みんな旗の立っている極点ではなく、その右側にある建物に目を吸いつけられて動かなくなります。そう、これが南極点。アメリカの巨大な気象基地に囲まれてちんまり。

 ALEからの連絡では、基地のスタッフが出迎えてくれるとか。私たちが迷わないようにエスコートしてくれるそうです…。しかし近付くにつれて巨大な建造物や、走りまわる赤い車、スノーモービル、トラック、高く立ち昇る幾筋もの蒸気、わけのわからないデザイン建築的なモノ、巨大な宇宙望遠鏡、どうもゴミのようながらくたの山々。今までの何もない世界から、いきなりこんなところに来て当惑感いっぱい。挙句の果てに縦横にめぐらされた滑走路と信号機、何かを示す旗が立ち並び、轟音を立てて軍のジェット飛行機がすぐ近くに降りてきたときにはあきれるというか、うんざりするというか……。

 極点のシンボルがあるところには、CBSのTVクルーが待ち構えていました。いったい何なんだ!? 最後の一瞬、大切な、一度しかない瞬間をみんなで喜び、頑張ってきたことを讃え合いたかったのに、なんでこんな邪魔が入る??? TVなんぞがおると、人の感情は不自然でぎこちなくなり、湧き上がる人間らしい心の動きは意味なく制御されてしまうのに…。

 仕方ないのでお約束通り極点到達の最後の歩みを進め、シンボルに到着
 長かった旅がここで終わりを告げました。すべての完結、素晴らしい解放感です。もうこれ以上そり引いて歩かなくていい。本当に長く、予想以上につらく、苦しかった。けれどもやり遂げるという素晴らしさは何物にも換え難い。ついに夢をかなえた、この手で勝ち取った勝利。

 エスコートしてくれた基地のスタッフは私たちを基地の内部へと誘いました。中は快適と豪華。24時間オープンしているカフェテリアには飲み物やフルーツ、焼き立てクッキーが並んでいました。コンピュータールーム、さまざまな研究室、水洗トイレにシャワー。図書館、ビリヤードや卓球のできるプレイルーム、郵便局と売店、トレーニングジムと音楽室、管制室からは航空機便のアナウンスがなされ、グリーンルームにはトマトやキュウリがなっています。もちろん快適な居住棟がありこちらはまだ外壁作業中

 この新しい基地棟は今月17日、私たちの到着の一週間前に完成し、使用開始したばかりだそうです。10年がかりで造られ、20年は使用したいという。それまで使っていた有名なガラスのドーム基地は閉鎖になりましたが、周辺に散らばる古い居住棟は使っていて、夏の間(だいたい10〜2月)は250人ほどの研究者とスタッフが活動し、冬期も50人程が越冬する。しかしどんなに真っ暗でもどんなに−50℃でも、こんな快適な設備が整っていたら、「越冬」なんて感じじゃないよねぇ……。

 私たちは外にテントを張りましたが、建物内に居ることを許され、カフェで3日ばかりほとんど眠らず過ごしました。日本に電話をかけたり、生出演とか収録とか。写真を送ったり、いろんな人に話しかけられたり、あちこち見て回ったり。最初入った時は、暖かくてもわっとした空気が気味悪く、外の冷たい締まった空気がなつかしくなりましたが、あっという間に身体が慣れて、外の−40℃の世界に出ると寒さがつらくなってしまいました。
同時に長い道のり長い日々の疲れが出始めました。階段登るのも一歩ずつ。全身に2カ月分溜まりにたまった疲労物質が、よっしゃー、やっと出番だ! とばかりに大活躍を始め、だるいのなんのって。しかしそれは心地よいものでもありました。努力と苦労とその結果の成功。疲労同様じんわりと全身に浸み渡っていきます。
 キャメロンは足が腫れて歩くのも立っているのもつらい様子、ジョンも疲れ切っています。

 基地の人たちはとてもフレンドリー。ちょうど開催されたフィルムフェスティバルに招待してくれました。ディスコパーティもすごい盛り上がりです。メイン棟だけでなく巨大宇宙望遠鏡や宇宙線を観測するアイスキューブなど案内してくれます。
売店で買い物したときには基地の職員しか買えないはずのアルコール類も気軽に売ってくれました。
 パトリオットヒルズへ帰るため、迎えのツインオッターを待つ間、別天地のような基地に、アリスinワンダーランド体験。なかなかこんなチャンスないですよね〜。笑。

(登山家・ライター/續 素美代)



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