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八ヶ岳山ろくのわが町〜東京だって2泊3日。
シェルパ斉藤の‘ワンウエイ・トレイル’の魅力
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ビーパルでは・スーパーカブの旅人・が定着しつつあるシェルパ斉藤だが、本業(?)のバックパッキングの旅もマイペースで楽しんでいる。今ぼくが夢中になっているフィールドは、ニッポンの山だ。ただし、登頂が目的の登山ではない。頂上で折り返すのではなく、山の向こうまでずっと歩いて行くワンウエイの山旅である。ニッポンでは登山が主流だけど、山から山へと歩く旅を続けられる縦走のコースは、バックパッキングのフィールドとしても世界に誇れるレベルにあるとぼくは思っている。
各シーズンごとに全国各地の山を旅して、紀行エッセイと写真をフリーマガジンの『フィールドライフ』に掲載してきたが、今回その連載を一冊にまとめた。
『シェルパ斉藤のニッポンの山をバックパッキング』というタイトルで、全ページカラー(旅の写真は例によってセルフタイマーで撮影した)のAB判ムックである。登山者にとっての王道である穂高岳〜槍ヶ岳〜燕岳の縦走にはじまり、北海道の大雪山縦走、海抜ゼロからゼロへの屋久島完全縦走、大峯奥駈道全踏破など、全国の魅力的なフィールドを9つ掲載しているが、なかでもとくにおすすめしたいのは、Trail To Tokyoだ。
ぼくが勝手に名づけたこのトレイルは、2004年の11月に八ヶ岳山麓のわが町が周辺の町村と合併して『北杜』という新しい市が誕生したことから始まる。どこまでがわが町なんだろう? と何気なく地図を眺めていてぼくは発見した。それまで隣町にあった瑞牆山が合併によって北杜市となり、わが町の山になっていたのだ。
瑞牆山は奥秩父縦走ルートの西端にあり、尾根沿いに東へたどっていくと、金峰山、大弛峠、甲武信ヶ岳、笠取山などを経て、東京都最高峰の雲取山にいたる。つまり、わが町から一度も車道を通ることなく、トレイルを歩いて東京都まで行けてしまうのである。しかも金峰山や甲武信ヶ岳、雲取山は深田久弥の日本百名山にも選ばれている人気のある山だからコースの整備状況は良好だし、適度な場所に山小屋もある。
これは行かずになるものか、と瑞牆山荘から東京をめざして歩き始めたが、想像どおりすばらしいトレイルだった。かつては交易路として利用されていたそうで、「あの山を越えて、どこまで歩いて行きたい」という気が起きる風景が続く。大弛峠で一度だけ車道と交差したが、長野県側の車道は舗装されていなかったため、舗装路を一度も踏むことなく、わが町から東京都までのロングトレイルを2泊3日で踏破することができた。
ぼくは日原鍾乳洞まで歩いて、そこから奥多摩駅行きのバスに乗ったが、雲取山から七ツ石山、御前山、御岳山とさらに縦走を続けていけば、青梅近くまでトレイルを歩いていけるのだ。開発が進んだ世の中にあって、歩いてしかいけない土の道でわが町と東京がつながっていることを誇りに思う。
このトレイルを歩いて、バックパッキングの旅の魅力をぜひ堪能してもらいたい。ぼくのように八ヶ岳側から東京めざして歩くのもいいが、反対に東京から八ヶ岳山麓をめざして歩くのもいいだろう。もし、東京からこのトレイルを歩いてわが町まで来るバックパッカーがいたら、ぼくは特別サービスとして、わが家自慢の露天風呂入浴と、ホーボージュンが南米チリのプンタアレナスから持ち帰った薪ストーブもある手作りの旅人小屋宿泊を、無料で提供してもいい。
雪がなくなって、気持ちのいいシーズンが訪れたら、ぜひとも Trail To Tokyo いや、Trail From Tokyoのロングトレイルに挑戦してもらいたい。
(バックパッカー/シェルパ斉藤)
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◇◆DATA◇◆
『シェルパ斉藤のニッポンの山をバックパッキング』
出版社:エイ出版
価格:1575円(税込み)
http://www.sideriver.com/ec/html/item/001/015/item14381.html
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